30年度病害虫発生予報で第1号を発表2018年4月19日
・早めの予防対策に有効な手引き
農林水産省は4月18日、「平成30年度病害虫発生予報第1号」を発表した。
それによると、向こう1か月の主な作物の発生予察情報(発生予報)は次の通り。
【水稲】
昨年、いもち病、もみ枯細菌病、ばか苗病などの種子伝染性病害の発生が多かった地域では、種子消毒を的確に実施し、健全な種子を使用した育苗に努めること。
特にいもち病とばか苗病については、一部の薬剤に対して耐性菌が発生していることから、都道府県からの発生予察情報などを参考に効果的な薬剤による防除を実施する。また、気温が平年より高いと予想されていることから、もみ枯細菌病が発生しやすい可能性があるので浸種から育苗期間にかけて温度管理に注意する。
縞葉枯病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病なので、当該虫を対象とした防除を実施することが重要だ。ほ場で同病の発生が高まっている地域では、ヒメトビウンカに効果の高い育苗箱施用剤による防除の実施を検討すること。
【麦類】
赤かび病は、同病に感染しやすい時期を捉えた防除が重要であり、麦の種類に応じて表に示した時期に最初の防除を行うことが重要。
【野菜共通】
アザミウマ類、アブラムシ類およびコナジラミ類の発生が一部地域の施設栽培で多くなると予想されている。
発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、発生初期に防除を実施すること。
【いちご】
ハダニ類の発生が南東北、東海、九州などの一部地域で多くなると予想されているほか、3月には福島県、4月には長崎県から注意報が発表されている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行い、発生初期に防除を実施すること。
灰色かび病の発生が、東海および北九州の一部の地域で多くなると予想されている。同病は気温20度C前後で発生が拡大しやすく、多湿条件で発病が助長されることから、換気などにより施設内の湿度低下に努めること。
【タマネギ】
タマネギべと病は、越年り病株が伝染源となり、降雨により二次伝染が助長される。4月に佐賀県から注意報が発表され、防除の徹底が呼びかけられている。ほ場内をよく観察し、越年り病株の抜き取りや薬剤による防除を徹底すること。
【果樹共通】
果樹カメムシ類の発生が近畿、北九州などの一部地域で多くなると予想されており、4月に越冬成虫の発生が多いとして、愛知県と静岡県から注意報が発表されている。
同虫の飛来状況は地域や園地により異なるので、都道府県の発表する発生予察情報などを参考にしつつ、園内を注意深く観察し、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施すること。
【カンキツ】
ミカンハダニの発生が東海と北九州の一部の地域で多くなると予想され、また気温が高く降雨が少ない場合に発生が助長される。
向こう1か月の予報では、温が高くなる予想なので、降雨が少ない地域では、に園内を注意深く観察し、発生初期の防除を実施すること。また同虫は、薬剤抵抗性を獲得しやすいので、同じ作用機作の薬剤の連続使用を避けるため、都道府県の発表する発生予察情報などを参考に薬剤を選定し、散布時期を検討すること。
【モモ】
せん孔細菌病は、春期に枝に形成される春型枝病斑(スプリングキャンカー)が伝染源となり、降雨や風により発生が助長される。前年の発生が多かった地域では、当該病斑が形成されやすい環境となっているため発生が多くなると予想される。園内を注意深く観察し、発病枝が確認されたら確実に除去すること。
【リンゴ】
黒星病の発生が、北海道などの一部地域で多くなると予想されており、北海道からは注意報が発表されている。昨年の発生量が多かった地域では、感染源が多くなっていると予想されることから、特に注意が必要。対策に当たっては、一次伝染源となるり病部の除去、薬剤散布などの防除を実施すること。
また、一部の薬剤に対して耐性菌が発生していることから、都道府県から提供される発生予察情報などを参考に効果的な薬剤による防除を実施すること。
都道府県が発表した注意報(平成30年2月14日以降)の内容は次の通り。
詳細は農林水産省ホームページ(外部リンク)で。
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