土壌分析5割が実施 農林水産統計2018年11月26日
農水省は、土づくりや、化学合成肥料・農薬の使用の低減に資する技術の導入実態や今後の取り組み意向などについて、農林水産情報交流ネットワーク事業の農業者モニター1024人を対象に調査をした。
◆栽培方法は慣行農業が5割
モニターが行っている昨年1年間の栽培方法は、「慣行農業」が57.8%と最も高く、次いで「環境保全型農業」41.4%、「エコファーマー」24.6%となった。
過去3年間の農業経営で最も売り上げが大きい栽培方法は「慣行農業」が50.2%、次いで「環境保全型農業」が24.1%、「エコファーマー」11.5%となった。また、その中で売り上げ額が最も大きい栽培作物は、「水稲」が45.8%と最も大きく、次いで「野菜・いも類」が30.4%、「果樹」が12.4%となった。
◆土壌分析や診断をしている5割以上
土壌分析や診断について「実施している」と回答したのは53.0%で、「実施していない」は47.0%だった。また、実施していると回答した人に頻度や場所について質問したところ、「数年に一度、代表的なほ場を選んで実施」が43.3%と最も多く、次いで「毎年、代表的なほ場を選んで実施」35.7%、「毎年、全ほ場で実施」12.9%、「数年に一度、全ほ場で実施」5.7%となった。
◆土づくり(土壌の化学性・物理性・生物性の改善)を9割以上が実施
土づくりのため、どのようなことを実施しているかについて、「たい肥の施用」が52.3%と最も高く、次いで「たい肥を除く有機質資材(稲わらなどの植物残さ、大豆油かすなど)の施用」が49.4%、「化学性(pHなど)の改善のため土壌改良資材の利用」が44.8%となった。
また、今後どのようなことを実施したいかについては、「たい肥の施用」が54.3%と最も高く、次いで「たい肥を除く有機質資材の施用」45.4%、「化学性の改善のための土壌改良資材の利用」43.7%だった。
◆化学合成肥料の低減に「有機質肥料」
化学合成肥料の使用を低減するため、土づくり以外で実施していることについては、「有機質肥料の施用(動植物質の有機質を原料として使用する肥料の施用)」が49.3%と最も高く、次いで「肥効調節型肥料の施用(被覆肥料や石灰窒素の施用など)」が39.2%、「局所施肥(肥料を作物の根の周辺に集中的に施用など)」34.7%となった。
また、今後どのようなことを実施したいかについては、「有機質肥料の施用」が53.8%と最も高く、次いで「肥効調節型肥料の施用」が39.8%、「局所施肥」34.7%だった。
◆IPM導入8.5割が「していない」
化学合成農薬の使用低減のため実施していることについて、「機械除草(除草機や刈り払い機での除草)」が49.2%と最も高く、次いで「マルチ栽培」30.0%、「温湯種子消毒(種子を温湯に浸すことにより、当該種子に付着した病害虫を駆除)」が24.7%となった。
また、今後実施したいことについては「機械除草」が43.3%と最も高く、次いで「マルチ栽培」25.8%、「温湯種子消毒」25.6%だった。
化学合成農薬の使用を低減するため、IPM(総合的病害虫・雑草管理)を導入しているかについて、「導入していない」と回答した割合が85.6%、「導入している」が13.7%だった。導入したいかについては「導入したい(導入をつづけたい)」29.2%、「導入したくない」9.7%となった。
◆今後取り組みたい栽培方法は「環境保全型農業」が3割
現在取り組んでいる栽培方法に関わらず、今後どのような栽培方法に最も取り組みたいかについて「環境保全型農業」と回答した割合が30.3%と最も高く、次いで「慣行農業」28.9%、「エコファーマー」16.6%だった。
どのような分野の技術開発に期待するかについては「低コスト省力化のための技術開発」と回答した割合が68.8%と最も高く、次いで「収量を安定させるための技術開発」63.6%、「土づくりのための技術開発」49.3%となった。
また、追肥の時期や施肥量を判断するため、栽培期間中、継続的に土壌中の窒素やカリなどの肥料の量を把握する技術があれば使いたいかという問いに「使いたい」と回答した割合が68.2%、「使いたくない」が5.9%となった。
有機農業や環境保全に配慮した農業に取り組むことによって、どのような効果を期待するかについては「農産物の品質や付加価値の向上」が69.5%と最も高く、次いで「水質の保全」61.1%、「農業関連所得の向上」54.6%となった。
(関連記事)
・利用拡大する全農の「Z-GIS」(18.07.31)
・JAの農産物販売 過半が評価-認定農業者調査(18.07.09)
・12名の施肥マスター誕生 JA全農ひろしま(18.03.09)
・全農が目指す農業ICT(18.02.20)
・土づくりが決める品質と収量(17.12.02)
・【第3回JA営農・経済フォーラム】中日本地区・実践事例報告(17.10.02)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(126)-改正食料・農業・農村基本法(12)-2025年1月25日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(43)【防除学習帖】第282回2025年1月25日
-
農薬の正しい使い方(16)【今さら聞けない営農情報】第282回2025年1月25日
-
JAしれとこ斜里と連携 冷凍食品に本格参入 カルビー2025年1月24日
-
パーパスを実現する「地域」と「差別化」の意味 静岡で第4セッション【全中・JA経営ビジョンセミナー】(1)2025年1月24日
-
パーパスを実現する「地域」と「差別化」の意味 静岡で第4セッション【全中・JA経営ビジョンセミナー】(2)2025年1月24日
-
【JA女性組織活動体験発表】(4)私のやる気は無限大 JA・地域・女性会の仲間と共に 和歌山県 JA紀州女性会 椎崎ひろ子さん2025年1月24日
-
【JA女性組織活動体験発表】(5)人と人とをつなぐ架橋~フレッシュ16いつまでも~ 愛媛県 JA越智今治女性部 德丸和江さん2025年1月24日
-
【JA女性組織活動体験発表】(6)仲間との絆を次世代につなげよう 熊本県 JAやつしろ女性部 山住久美子さん2025年1月24日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】サツマイモを消せば世論が収まると考えたお粗末さ2025年1月24日
-
TNFDの環境開示は何から始めるか 農林中金と八千代エンジニヤリングがセミナー2025年1月24日
-
JPIセミナー 農産物の環境負荷低減の見える化とJ-クレジット制度 今後の方向性を解説2025年1月24日
-
鳥インフル 米アラバマ州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月24日
-
「農山漁村」経済・生活環境プラットフォーム 設立記念シンポジウム開催 農水省2025年1月24日
-
(419)芸能アイドルと「卒論」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年1月24日
-
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 24日から開催 JA全農2025年1月24日
-
ブルボン×ニッポンエール「フェットチーネグミPREMIUM長野県産ぶどう三姉妹味」新発売 JA全農2025年1月24日
-
JAしれとこ斜里と原料ばれいしょの安定調達で連携 カルビーグループ2025年1月24日
-
「一村逸品大賞」受賞商品集めた特設ページ開設 JAタウン2025年1月24日
-
「素直な、おかか。かき醤油」 新発売 マルトモ2025年1月24日