スマート農業に熱い思い―台湾国際農業週の展示ブースを見て2018年12月3日
台湾(中華民国)の高雄市で11月21日から23日まで開催された国際農業週では、スマート農業をテーマに、様々なメーカー・組織が展示を行っていた。各ブースの一部から、各担当者のこれからのスマート農業にかける熱い思いを聞いた。
■蜂巣數據科技
同社は、土壌や空気等の様々なデータ分析のシステムを展示。使用時は屋外にワイヤレスセンサーを設置し、システムにデータを収集する。特長は、植物の保護・病気の予防を農家がリアルタイムでできることだ。同社のシステムを利用したパイナップル農家は、傷のないパイナップルを生産・輸出できたという。また、全員に同じシステムを提供するわけではなく、各農家の状況に合わせてカスタマイズしたものを提供する。利用農家数はまだ少ないが、今後は2世代目の若手農家を対象に広めていきたいという。東南アジアを中心に、海外展開もと担当者は意気込む。
(写真)台湾国際農業週の会場のようす
■国立中興大学産学連盟
同産学連盟は台湾唯一の企業統合の国際プラットフォームであり、農家と企業が国際舞台に上がれるよう、色々な産学連携活動をする機構だ。農業バイオテクノロジーに関連する会社を統合しながら、企業と大学の力を合わせることで、台湾の新農業の領域を切り拓くことが目標だという。今後は、海外の窓口を通して台湾の農産物と農業技術を世界中に輸出し、世界各国に台湾の企業の力を見せていきたい。
(写真)国立中興大学の教授と連盟に加入する企業担当者など
■台茂奈米生化
国立中興大学産学連盟に加入している企業の一つ。カルシウムと栄養剤のメーカーで、ナノ化したカルシウムを植物に吸収させる栄養剤を展示。同剤は天然素材で環境への負荷が少なく、この栄養剤は飼料に混ぜて動物に与えることもできるという。また、日本での活動にも力を入れており、来年の10月には幕張メッセの展覧会にも出展するという。
■國興資訊
同社は環境モニタリングと栽培に関する問題を解決するシステムを展示。同製品は主にグリーンハウス内での使用を想定しており、対象作物はベビーリーフ、トマト、キュウリなど。システムを通じて照明等を調整することで、温度・湿度を制御。特長は、システムでデータを制御、無人機が空中から圃場を撮影しながらデータを収集し、分析する点だ。また、このシステムのプロトタイプは日本の富士通と提携して作成したものだという。今後は政府の方針に従い東南アジアへの普及に力を入れたい。
(写真)台湾国際農業週の会場となった建物の外観
■詮興開發
同社は主に農業施設等に向けた植物用照明を展示。日本の植物工場に導入されている照明の約半分は同社の製品だという。蛍光灯の表面の物質を調整することで、光の色を変えられる。独自の蛍光粉を使って色を調整することで、従来のLEDに比べ、発光率が高く、節電になるうえ、植物の成長率も高くなる。最近の取引先は日本、アメリカで、むしろ海外がメインになっているという。
■瑞嘉國際
同社は環境モニタリングセンサーを展示。具体的には植物工場内での温度・湿度・二酸化炭素の計測に使用する。センサーの市場狭く、特にキノコ類を対象として、普及推進を行っているという。設備の普及率はまだ高くなく、今後高めていきたいと担当者は語る。
■亞中實業
同社は、人体や環境への負荷が少ない、昆虫のフェロモン剤・微生物剤の販売・開発・研究を行っており、台湾初の微生物剤の開発会社だという。中国、タイに工場を持ち、今後は、台湾はもちろん、東南アジア、日本(特に石原産業)との連携を図っていくという。これまでの「伝統的な農業」で多く使われていた化学農薬を世界中から減らし、残留農薬を削減したい。
■台鼎活動
同社は、グリーンハウスの天蓋開閉のシステムを展示。AIが自動でデータ収集をし、それらを基に、気温の高低により、天蓋の開閉を自動で行う。台湾では、夏のハウス内の温度は45℃以上、湿度は85%以上になってしまう。そのため、ハウス内の作物は病気になり、生産量は落ちてしまう。同システムはその解決方法として開発したのだという。担当者は、今後は日本農業とも技術連携し、ウィンウィンの関係を築いていきたい、と語った。
(関連記事)
・台湾の農業の現状と今後 第3回台湾国際農業週(18.11.30)
・台湾国際農業週開幕!(18.11.21)
・台湾で最新の農業をテーマに国際的展示会「2018年台湾国際農業週」(18.10.15)
重要な記事
最新の記事
-
埼玉県内で鳥インフルエンザ 国内11例目2024年11月25日
-
【JA部門】全農会長賞 JA山口県 「JAならでは」の提案活動で担い手満足度向上 TAC・出向く活動パワーアップ大会20242024年11月25日
-
5年ぶりの収穫祭 家族連れでにぎわう 日本農業実践学園2024年11月25日
-
鳥インフル 米イリノイ州、ハワイ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月25日
-
「JA集出荷システム」と生産者向け栽培管理アプリ 「AGRIHUB」をシステムで連携 農業デジタルプラットフォームの構築目指す JA全農2024年11月25日
-
卓球世界ユース選手権 日本代表を「ニッポンの食」でサポート JA全農2024年11月25日
-
佐賀県産「和牛とお米のフェア」みのる食堂三越銀座店で開催 JA全農2024年11月25日
-
JA全農×農林中金「酪農・和牛の魅力発信にっぽん応援マルシェ」新宿ルミネで開催2024年11月25日
-
EXILE NESMITH監修 くまもと黒毛和牛『和王』の特別メニュー提供 JA全農2024年11月25日
-
「第1回全国冷凍野菜アワード」最高金賞のJAめむろなど表彰2024年11月25日
-
「熊本県産和牛とお米のフェア」大阪の直営3店舗で12月1日から開催 JA全農2024年11月25日
-
都市農業・農地の現状と課題 練馬の野菜農家を学生が現地調査 成蹊大学2024年11月25日
-
食育イベント「つながる~Farm to Table~」に協賛 JQA2024年11月25日
-
薩州開拓農協と協業 畜産ICT活用で経営の可視化・営農指導の高度化へ デザミス2024年11月25日
-
「ノウフクの日」制定記念イベント 東京・渋谷で開催 日本農福連携協会2024年11月25日
-
省スペースで「豆苗」再生栽培「突っ張り棒」とコラボ商品発売 村上農園2024年11月25日
-
在ベトナム農業資材販売会社へ出資 住商アグロインターナショナル2024年11月25日
-
楽粒の省力検証 水稲除草剤の散布時間の比較 最大83%の時間削減も 北興化学工業2024年11月25日
-
【人事異動】北興化学工業株式会社(12月1日付)2024年11月25日
-
幼稚園・保育園など996施設に「よみきかせ絵本」寄贈 コープみらい2024年11月25日