ツマジロクサヨトウ 東北で初めて福島で確認2019年9月5日
農林水産省は9月4日、トウモロコシなどを食害する害虫、ツマジロクサヨトウが福島県で確認されたと発表した。7月3日に国内で最初に鹿児島県で確認されてからこれで、発生県は九州全県と沖縄、高知、茨城、岡山、千葉、山口、愛媛に続き15県に拡大した。東北地方では初めて確認された。
寄生の様子と被害を受けた株
福島県でツマジロクサヨトウが発見されたのは8月29日。双葉郡葛尾村の飼料用トウモロコシのほ場で発見された幼虫が、農林水産省の横浜植物防疫所でツマジロクサヨトウであることが確認された。同県では9月5日、本庁で市町村と国と対策会議を行う。
同県は、鹿児島での発生を受け、7月下旬から農林事務所の普及指導員が調査していた。今回、発見されたのは、収穫間近の比較的、背の高くなったとうもろこしの若い芽への食害だった。
すでに収穫時期を迎えているため、同県では農薬散布ではなく、収穫時期を早めにするサイレージで対応。収量への影響もそれほど大きくはならないとみている。
ただ、県の担当者は、今年から来年にかけて日本で越冬するか注目しているという。ツマジロクサヨトウは、熱帯から亜熱帯など暖かい地域に適応するため、福島では冬を越さなくても暖かい九州などで越冬した場合は来年以降、春先から飛来してくる可能性があるからだ。
ツマジロクサヨトウは、南北アメリカで広く発生しており、2016年にはアフリカ大陸で、2018年の夏にはアジアで初めてインドで確認された。さらに今年1月に中国で発生が確認され急速に拡大し、7月には国内で初めて鹿児島で発生が確認されている。
日本では未知の害虫だが、熱帯では年4~6世代発生するほど繁殖力も高い。また、現在はトウモロコシ類への確認にとどまるが、サトウキビ、トウモロコシ、イネ、豆類、いも類、野菜類など80種類以上の作物に被害を与えることが知られている。
農林水産省は、初期のまん延を防止するための防除支援や、防除体系の確立など緊急的な取り組みを実施し、引き続き早期発見を呼びかけている。
福島県で発見されたツマジロクサヨトウ幼虫の口腹部
(写真提供:福島県病害虫防除所)
(関連記事)
・ツマジロクサヨトウ新たに愛媛、山口でも 各県の発生状況(19.09.03)
・米国産トウモロコシ 275万tの保管料を支援-吉川農相(19.09.03)
・【 クローズアップ 日米FTA】決定版!やはり「失うだけの日米FTA」【 東京大学教授・鈴木宣弘】(19.09.02)
・病害虫のツマジロクサヨトウ 茨城、高知でも発見(19.08.21)
・病害虫のガ「ツマジロクサヨトウ」蔓延防止で全国対策 農林水産省(19.07.19)
重要な記事
最新の記事
-
日本人と餅【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第331回2025年3月7日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「コメ騒動」の原因と展望~再整理2025年3月7日
-
(425)世界の農業をめぐる大変化(過去60年)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月7日
-
「とやまGAP推進大会」に関係者約70人が参加 JA全農とやま2025年3月7日
-
新潟県産チューリップ出荷最盛期を前に「目合わせ会」 JA全農にいがた2025年3月7日
-
新潟空港で春の花と「越後姫」の紹介展示 JA全農にいがた、新潟市2025年3月7日
-
第1回ひるがの高原だいこん杯 だいこんを使った簡単レシピコンテスト JA全農岐阜2025年3月7日
-
【スマート農業の風】(12)ドローン散布とデータ農業2025年3月7日
-
小麦ブランの成分 免疫に働きかける新機能を発見 農研機構×日清製粉2025年3月7日
-
フードロス削減へ 乾燥野菜「野菜を食べる」シリーズ発売 農業総研×NTTアグリ2025年3月7日
-
外食市場調査1月度市場規模は3066億円2019年比94.6% コロナ禍以降で最も回復2025年3月7日
-
45年超の長期連用試験から畑地土壌炭素貯留効果を解明 国際農研2025年3月7日
-
日本赤十字社のプロジェクト「ACTION!防災・減災」に参加 コープみらい2025年3月7日
-
健康増進へ野菜摂取レベルなど競う企業対抗企画 タキイ種苗が優勝2025年3月7日
-
フルーツピークス横浜ポルタ店2周年記念 いちごの超豪華パフェや感謝価格のタルト登場2025年3月7日
-
EVトラックの最適充電マネジメントシステムサービスを提供開始 グリーンコープ生協くまもと2025年3月7日
-
「金芽米」活用で市職員の花粉症予防・改善にチャレンジ 大阪・泉大津市2025年3月7日
-
台湾へのイチゴ輸出を本格化 JAかみましき2025年3月7日
-
道の駅「明治の森・黒磯」で「手塚さんちの長ねぎドレッシング」新発売2025年3月7日
-
鳥インフル 米デラウェア州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年3月7日