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青果物:野菜の流通と文化を考える ―「野菜と文化フォーラム」が果たしている役割―

【野菜の流通と文化を考える】第4回 多様な課題に応えて活動2018年5月27日

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今野 聰(NPO野菜と文化のフォーラム 監事)

(4)法人組織―その活動

 この期間は、現在までに至る期間である。2003年4月30日は、NPO法人「第一期通常総会」である。全農会議室で行われた。以降、法律の建前で「00期」と表示する。ここでもそれに従う。
 野菜問題が世情に大きくクローズアップされて、マイナーの時代はほど過ぎた時期にあたる。ここでは、正しい多様な野菜情報が求められている事を痛感する。そこで、幅広い会員の知識を活用できる場を作り貢献しようと言うことで、以下の活動分野に組織替えをした。
1)野菜の学校、2)広報、3)セミナー&シンポジウム、4)調査研究なで多様である。以下、順をおって簡単に触れる。
1)野菜をめぐるセミナー・講演会
・野菜・果物―味と香りの話(2002年2月):栗原堅三(青森大学環境科学)
・安全で美味しい野菜生産(2002年5月):鶴田志郎(マルタ有機生産組合)、小野里哲(常栄農事代表)
・地方野菜を考える(2003年4月):鈴木圭介(長岡青果市場)
・卸売市場改革の方向(2003年7月)::高橋正郎(農水研究会座長)、柿下秋男(東京青果)
・カット野菜(2003年12月):舘本勲武(デリカフーズ社長)、西郷正道(内閣府リスクコミュニュケーション)

2)「野菜の学校開校」集中講義全6回の開催(農林水産省後援認可)
 NPO法人認可に伴い、会の対外的な活動広報を含めて、また、輸入野菜が脚光を浴びつつある世上を考え、業務的野菜実需者対象に、日本の野菜生産全体像・野菜の品質に係わる問題を正しく理解していただくことを意図して開校。
 カリキュラムとして、植物としての野菜・食べ物としての野菜・商品としての野菜の視点から学ぶ。として価格だけの評価でない野菜認識の普及を意図した。
(以下略)

4.NPOとしての本格活動―発展と多様性(2006~2011年)

 法人格を取得した初期の試行錯誤した活動期を踏まえて、本格的な法人活動期に入る。

(1)地方野菜視察研修
 これまた、活動は第1期時代を含め、看板の活動である。毎年次方針に基づき実施
・福島のトマト、茨城の加工所(2007年10月)
・新潟店長岡地方(2009年9月)
・宮城県野菜産地と㈱渡辺採種農場(2010年10月)
・中国・上海野菜事情視察研修(2008年11月)参加者14名
・中国・山東省野菜市場(2011年10月)参加者17名

(2)野菜の品種による調理特性研究会
 テーマからして、どうしても大掛かりの研究会にならざるを得ない。会場はすべて、女子栄養大学で、併設されているテスト・キッチン活用である。

 2011年度の理事会は、「野菜と文化のフォーラム」の20年間を簡単・簡潔に総括し、これからの活動に生かそうと決議した。作業はすでに2011年の暮から準備し、新年度に引き継いだ。
 この歴史総括は、すでに『10年の歩み』(1998年3月7日)という歴史資料がある。なお第1期までは、近藤氏との数回の協議に基ずく。そこから改めて主要内容を集約する。
 第2期は、NPO法人設立に関わった栗本氏に概略整理を要請し、すでに5月末までに概要は報告された。
 第3期は、いわば現代史である。この間の活動は、毎年度の詳細な事業報告に尽きてはいる。だから、そこから、重要な内容を引き写すことにした。

5.今後のフォーラム活動

 現在のフォーラム会員は、個人会員80名弱、法人会員30法人ほど。創立以来、個人会員は横ばい、法人会員は微増である。すでに触れた野菜と文化の諸問題から、活動展開には、多くの期待が高まる。
 例えば、昨年11月、千葉県山武郡での現地見学会。さんぶ野菜ネットワークだった。1966年の成田新空港建設計画から1978年開港まで、現地は空港開設阻止で揺れた。血みどろの戦いもあった。ネットワークの下山久信事務局長は、自らもJA山武郡市睦岡支所長として1988年JA有機部会設立。定年後は、2005年さんぶ野菜ネットワークを結成。新規就農者の育成・定着に集中。自らの息子を、この地に農民として就農させた。
 どこまでも、世代的引き継ぎがあって、地域振興だと譲らない。61名、60品目、4億円の野菜出荷金額は、JA窓口に振り込まれる。絶妙の合いの手である。しかも独特のJAS有機圃場46ha、特栽ほ場36ha。有機農業は近隣里山活用の独特なものである。
 この日、好天に恵まれた。3か所の見学畑地。にんじん栽培現地では目の錯覚か、実に広大で30aが1haの広さに見える。それ位、適地適作である。里山ネットワークによる環境保全活動も行うという。集荷場は農水省補助事業を受けて、低温倉庫を併設。隣で交流会ができた。間違いなく勢いがある。
 敢えて産地研修という活動の一事例を触れた。年間活動計画は、総会で審議されて決定する。このように、個別野菜の特性に迫る集団的検討、伝統野菜の見直しなども毎年のテーマである。多くの参加者の同意参加を期待したい。

 

(関連記事)
【野菜の流通と文化を考える】第1回 JA全農青果センター設立の意味(18.05.15)
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