「たちはるか」は、倒伏に強く縞葉枯病、穂いもちに強いWCS用「西海飼253号(タチアオバ)」と、いもち病に強い主食用「中部11号(みねはるか)」から育成した。
国内の水稲品種としては、初めていもち病抵抗性遺伝子2個と、縞葉枯病の抵抗性遺伝子1個を同時に導入することに成功したため、病害耐性が非常に高く、農薬施用を削減し、低コスト栽培につながる品種だ。
千粒重が25.3gとやや大粒なため、1aあたり収量は移植栽培で63kgと「ヒノヒカリ」より9kg多く、また直播栽培でも65.4kgと多収品種の「あきまさり」より3.5kgも多い。
米の外観品質は、腹白や乳白米の発生が多くやや劣るが、食味は「ヒノヒカリ」、「コシヒカリ」とほぼ同じ。玄米のタンパク質含有率が6.2%と低いため、加工用では酒造用(掛米)への適性が高い。
平成24年3月に品種登録を出願し、すでに京都の酒造メーカーが原料米として使うことを予定しており、岡山の生産法人でも24年産米から作付を行った。
農研機構では「多収性、低コスト性を活かし、弁当、醸造用、米粉用など業務加工用」での作付拡大を期待している。
(関連記事)
・米の作況指数、全国で「102」 農水省 (2012.10.09)
・【人づくり・組織づくり・地域づくり】地域営農ビジョン運動でさらなる進化をめざす JA加美よつば(宮城県) (2012.10.04)
・1等米比率上昇 8月末現在の農水省検査結果 (2012.09.21)
・主食用米の需給、業界は「緩和」を見込む アンケート調査結果 (2012.09.11)