7月25日、大飯原発3号機に続いて4号機が再稼働された。4月からこの問題に対して毎週金曜日に行われてきた抗議行動への参加者は増え続け、これまでニュースとして取り上げてこなかった大手メディアも大きく報道するまでになっている。
同連合は東日本大震災、福島第一原発事故発生から1年後の今年3月11日、追悼と脱原発を誓うデモ行進とキャンドル集会を行い、1万4000人が参加した。今回の「脱原発国会大包囲」については「福島第一原発事故により引き起こされた悲劇を二度と繰り返さないために、次の世代にこれ以上負の遺産を引き継がせないために、前回を上回る規模で、原発反対、再稼働反対の声を政治の中枢に突き付けましょう」とホームページで全国からの参加を呼びかけている。
【7.29脱原発国会大包囲】
日時:7月29日(日) 日比谷公園中幸門(日比谷公会堂前)
○集会:15:30〜16:30
○デモ出発:16:00
○国会包囲:19:00
なお、同連合としては今週27日(金)の首相官邸前の抗議行動の呼びかけは行わないとしている。
◇ ◇
6月末から小紙記者も官邸前の反原発抗議行動に出かけているが、今や官邸前というよりも“国会周辺”といったほうがふさわしい広がりをみせる。
抗議行動の中心は一応、官邸前ということになっているが、通行規制もあって相当早くに現場に行っていなければそこにはたどりつけないし、むしろ官邸前をこの行動の中心と考えず、参加者は自分なりに選んだ“立ち位置”で声を上げているのが特徴であるように感じる。
7月20日は主催者発表によると7万5000人が集まったという。この日も国会正門前では横断歩道を挟んだ左右それぞれのかたまりでは、マイクを握りリレートークで思いをぶつける人たちの姿があった。
その声のなかから、宮城県から駆けつけたという男性が被災地の現状を話しているのが聞こえてきた(人だかりで姿など見えないのだ)。地震、津波、そして原発被害に風評被害―、漁業や農業が苦境にあることを伝えていた。
子ども連れの姿もまた増えたと思う。「再稼働反対」とここで叫ぶだけで何が変わるのか、という論調も見られるようになってきた。しかし、叫ぶだけではない。この日のリレートークのように参加者からの“発信”もある。互いの発信によって原発や政治に対する考えを深める場にもなってきたのではないか。
とりわけ都会の普通の人たちが集まるこの行動の場で、被災地の農業や漁業を営んでいる人が(いや、営みたくてもそれがいまだにできないことこそが問題なのだが)思いを伝えることができれば、一層、この問題の本質への理解と共感が広がるのではと感じた。
「決められない政治の打破」と胸を張る官邸の主に向けて、「決めるべきは何か」を問う思索と意思表示の場が続く意味はけっして小さくはないと思う。
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子ども、若い母親、若者、帰宅途中のサラリーマン、外国人…多種多様な人たちが続々と個々に集まる姿が特徴のこの抗議行動。それぞれどんな思いで参加しているのだろうか。
毎週、足を運んでいると、「原発反対!」というひとつになった声のなかから、一人ひとりのさまざまな思いも見えてくる。
20日に話を聞いたのは、大学でフランス語を教えているというフランス人の女性。昨年5月から都内や船橋などいろいろなところでデモに参加しているという。
参加の理由のひとつは、原発に使用しているMOX燃料だった。原発推進の母国、フランスが製造・輸出しているので自分自身の責任も非常に重いと感じているとのこと。「原発は燃料の輸出入を通じて世界でつながっている。日本で原発をやめれば世界中がやめる可能性は非常に高くなると思う」と語る。
また、先生という若者に教える立場として、子どもの将来がなくなるかもしれないことが心配で我慢できない、と話していた。
(写真)7月13日の抗議行動のようす
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