「7.29脱原発国会大包囲」と題した今回の運動の主催は4月から毎週金曜日に首相官邸前で原発再稼働反対の抗議行動を呼びかけている「首都圏反原発連合」だ。
16時からはドラム隊の音楽とともにデモがスタート。幅広い世代の人たちが思い思いのプラカードやコスチュームを身にまとって東電本社前から新橋、経産省前を通る約1.6kmのコースを行進し、霞が関一帯に「原発いらない」「子どもを守れ」などと怒りの声をとどろかせた。なかには子どもをおぶりながらや、ベビーカーを押しながら参加する人も。
デモ行進の前に行われた集会でタレントの山本太郎氏は「この国は未来をあきらめている。でもこれだけの人がいたら変えていく気持ちになりませんか。その前にやらなきゃいけないことがある」と、先日提示された原子力規制委員会の人事案の白紙撤回への協力を求め、青山学院大学の小島敏郎教授も「原子力規制委員会が発足すると抗議行動で官邸前に来てはいけませんよということになる。再稼働の判断をするのは委員会で政治はもう関係ない。これが今後5年続く」と、この抗議行動を政治に反映させるために国民投票に変わるパブリックコメントの提出と委員会の人事撤廃の署名に協力を呼びかけた。
◆世界にもっと発信を
ピースボート代表の吉岡達也氏は「いまこのデモは世界中が注目している。1週間前に行ったベネズエラで連日デモの様子が報道されていた。世界は広島、長崎、福島の経験を持つ日本でなぜ原発を再稼働するのか大きな疑問を持っている。これに対してもっとも明確に答えを出しているのはこのデモ。日本がまだ原発にしがみつくのであれば世界中でもっと原発が増える。世界で事故が起きたとき犠牲者の責任は誰が取るのか」と話した。
原発をなくす全国連絡会の長瀬文雄氏は「原発は東電管内では動いていない。しかしこんなに暑いにもかかわらず去年の停電騒ぎは何だったのか。大飯原発はむりやり稼働させたが、同時に関電は火力発電所を8基とめた。いかに電力不足が嘘だったかを示している。2012年を国民の力で原発をなくしたというような歴史的な年にするためにがんばりましょう」、作家の落合恵子氏は「思考回路をすべて3月11日以前に戻しているこの国の政治を変えていきましょう。福島を体験しながらその怒りに対し鈍感すぎる醜い政治を倒していきましょう。ここから本当の民主主義をみせてやろう」と訴えた。
その後、19時からはペンライトなどを手にした参加者が国会周辺を光で「大包囲」した。
規模を拡大させながら、いまや金曜日の定例となった首相官邸前の抗議デモだが、7月に入って大飯原発2基が再稼働された。この日の参加者は主催者発表で20万人。脱原発、再稼働反対の声はさらに高まっている。
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