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「JA・6次化ファンド」を25年3月末に立ち上げ JAグループが基本方針決める

 第26回JA全国大会決議には、6次産業化の促進に向けた対応を盛り込んだが、JAグループはその具体化のための方針を12月6日のJA全中理事会で決めた。農業者の所得向上の観点を重視しJAグループ各段階の役割分担などを整理するとともに、具体的な案件の取り組みをすすめ来年3月にはサブファンド「JA・6次化ファンド(仮称)」を投資事業有限責任会社として組成する方針だ。

◆目的は所得向上と地域活性化

 農業・農村の6次産業化は、農業再生・所得向上・農村活性化の観点から組合員や地域からの期待とニーズが高まっている。
 ただし▽農業や地域に関わりのなかった企業等がJAが取り組むべき分野に参入したり、一部の農業者を囲い込む動きが活発化、▽大規模な取り組みをするためのノウハウや仕組み等が整理されておらずリスクが高い状況にある、などの問題が出ているとJAグループは整理。こうした状況認識のもと、基本方針では、▽農業者の所得、▽地域の活性化、▽JAグループの事業領域の拡大が6次産業化の目的だとして、今回はJAグループ内の役割分担や促進策などの考え方を示した。

◆組合員にも積極提案

 6次産業化の事業内容は地域や関係者の意向、活用すべき地域資源によって多種多様だ。考え方の基本は、具体的な案件について農業や地域発展への貢献度合い、地域の実態、推進体制を見極めること。JAグループの強みと弱みをふまえて各段階・組織で促進すべき事業を戦略的に検討していく必要がある、としている。
 その際、組合員等のニーズ、提案を把握するだけでなく、積極的に提案していくことも求められる。
 これらの実践に向けてJAグループが総合力・組織力を効果的に発揮する観点から以下のように役割分担の考え方を整理した。
〈各連共通〉
「ニーズの収集・マッチング」について情報提供・相談対応のなかで、JA・経済連・全農、信連・農林中金が連携して対応。
〈経済連・全農〉
全国・県域に担当者を配置。技術・販路・ノウハウの提供など事業面の対応を行う。JAや県域を超える案件など場合によっては自らの出資による直接的な参画も。
〈信連・農林中金〉
資金面の対応を行いつつ、6次産業化に取り組む事業体の経営面をサポート。
〈全共連〉
リスク対策・資金面の対応。
〈中央会〉
各段階の取り組みの総合調整、施策の確保などの機能発揮。全中ではJAグループの6次産業化に関する協議会窓口対応。

◆JAグループの総合力を発揮

 JAグループの役割分担のもとで、具体的な案件の実現に向けサブファンドからの出資などの支援を行うことになるが、支援対象の基本は「農業・地域・JAグループの組織と事業の発展をめざす」案件。
 出資等の支援を行うため、法律に基づいて設置される農林漁業成長産業化支援機構(機構)からの出資とJAグループからの出資で組成する「JA・6次化ファンド」(仮称)は投資有限責任組合として来年3月末をめどに立ち上げる方針だ。
 このJAグループ独自のサブファンドは当初は20億円規模とし5年後に100億円をめざす。出資割合は機構が50%、JAグループとJA・6次化ファンド運営会社が50%とする。JAグループからの出資は農林中金とJA共済連。
 このサブファンドからの出資で各地に地域資源を活かした6次産業事業体がつくられるというのがファンドによる支援の枠組みで、事業体には農業者のほか、JA、連合会からも出資できる。また、パートナー企業も参加可能だ。そのため今回の基本方針ではパートナー企業については、JAグループの6次産業化促進の目的や農業、JAの業務を理解している企業等を選定するとしている。
 国の「機構」は来年1月にも設立されサブファンドが募集されることになる。このため「JA・6次化ファンド」を3月末にも立ち上げるが、同時にそこからの出資案件の正式決定をJA等の総会時期にあわせて最速で5月をめざすとしている。
 今後は各地で事業提案の受付や、事業の掘り起こしをすすめ、ファンドを活用した事業体を設立するのかどうかも含め、計画策定をJAグループとして進めていくことになる。役割分担に基づきJAグループの総合力を発揮する仕組みを構築することが求められている。


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