◆美味しさを実感してもらう

　「29日は肉の日」をＰＲするためＪＡ全農は東京・大手町のＪＡビルで毎月29日を中心に即売会を開いてきた。月を追うごとに来客は増え、最近では焼肉弁当など人気商品は店頭に並ぶとあっという間に売れ切れてしまうほど。11月29日の即売会ではスタートから30分でほぼ完売するという盛況ぶりだった。まさに継続は力。伊藤浩紀ＪＡ全農畜産販売課長は「これからも継続させ定着させていきたい」と話す。今年は福島県産を販売したが、来年以降は福島県産をＰＲする月と他県産をＰＲする月とを交互に実施する予定。
　また、毎月この日に全国持ち回りで銘柄牛や豚肉が「当たる！」というキャンペーンの実施を含めた新聞・雑誌・ラジオなどでの情報発信を行うなど広報活動を強化。生協や量販店にものぼりやポップなどの販売促進資材を配布し店頭でアピール、消費拡大を図る。さらに８月29日は「焼肉の日」、11月29日は「いい肉の日」などと特定の日には全国統一販促を行う。

（写真
上：販促資材を店舗に提供
下：「29日は肉の日」を定着させるため生協・量販店などでキャンペーンを展開

◆大規模イベントで肉料理の魅力を発信

　来年は４月29日の「よい肉の日」を軸に、全国数カ所でバーベキュー大会の開催を検討している。
　「今までは生産者の方々に消費地に来てもらって肉を焼いて配り、畜産の現状を訴えるという取り組みをしてきましたが、肉を食べようと呼びかける大規模なイベントは初めて」（伊藤課長）。４月29日には東京都内の公園に1000人規模を集めて実施することを計画しており、その後、各地での開催も検討する。
　このイベントでは肉の調理法を紹介するコーナーなども設ける。「野外でバーベキューというと単に肉を焼くもの、と考えがちですが、本当はもっと多彩な料理法があるといいます。この機会にそんな提案を広め『新たな肉の食べ方』も知ってもらえればと思っています」（伊藤課長）。
　「お肉の健康効果」や「お肉ができるまで」など食と畜産現場への理解を深めてもらう企画やパンフレットなども配布する予定。ＪＡ全農では牛肉の栄養や機能を分かりやすく解説した「元気いっぱい和牛だね」（写真右）を作成している。そこでは体内で合成できず食品から摂取するしかない必須アミノ酸が牛肉には豊富に含まれていることや、動脈硬化予防や脂肪燃焼促進作用などの機能性成分も含まれていることなどを解説。こうした知識をバーベキュー大会などのイベントを通じて発信していくことにも力を入れる。
　テレビ番組では国産畜産物で簡単に作れる調理方法や食材を提供する番組を検討する。
　「家庭で調理する機会を増やすことが国産畜産物の消費拡大につながると考えています。簡便、即席をうたう商品に消費者の関心が向かうと、どうしても価格問題から原料は輸入品に置き換わってしまう。やはり家族で調理してもらうことが大切。それも簡単においしくできる料理を紹介していきたい」（伊藤課長）。
　さらに石川佳純選手を起用した畜産物消費拡大ＣＭを制作し、ＴＢＳラジオ「田中雄介の食卓応援隊」、ＦＭラジオ番組でＣＭ放送することにしている。

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牛肉の栄養や機能を分かりやすく解説したパンフレット「元気いっぱい和牛だね」

◆米国、アジアで全農ブランドを確立

　販売力強化の取り組みとしては、直販事業の強化とともに、輸出事業の拡大にも積極的に取り組む。輸出地域ごとに販売戦略をたてるが、とくに米国、シンガポールでは「全農和牛」など全農ブランドの確立をめざして、現地メディアを活用した広報活動によって取引先を増やすとともに、ウェブ等を活用した新チャネルや業態への販売拡大を図っていく。また、今後の事業拡大のため現地営業拠点の設置も検討する。

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