驚愕の2025年コメの需要予測2017年12月25日
企業や研究機関等に様々なデータを駆使して経済の分析・予測を提供している(株)アクシスリサーチ研究所と言うところがある。そこの社長に頼んでコメやコメと競合するパンや麺の将来の需要がどうなるのかと言うデータを送ってもらった。そこに記されていたデータはまさに驚愕と言うべき内容で、コメ業界にとっては衝撃と言うしかない予測である。
◆若年層 購入激減
コメの1世帯当たりの年間購入額は2001年当時3万円を超えていたが、2016年には1万8634円にまで減少した。全世帯の年間支出額は2005年当時1兆2000億円あったが、2015年には1兆円を割り込んでいる。5年ごとの中期予測では2020年に8000億円、2025年には7000億円程度にまで減少する。
なぜこれほどまでに落ち込むのか? もちろん人口減少という要因はあるが、将来こうなるという確実なデータがすでに出ている。データには2016年の年代別コメの購入金額が記されており、それを見ると最も購入金額が多いのが70歳代で、年間2万8000円程度を支出しているが、年代が下がるごとに支出金額が減少、最も少ないのが29歳以下で年間1万2000円程度しか支出していない。つまり今最もコメを購入している年代がいなくなる5年先10年先はコメを買う人が減るということが予測できるのだ。
◆コメの10大ニュースとは?
ではパンはどういう予測なのか? 2001年当時一世帯あたりの年間購入金額は2万2300円程度であったが2016年には2万5102円とコメの購入金額を大幅に上回るまでになった。全世帯の年間支出金額は2005年当時1兆1000億円程度であったが2015年には1兆3000億円を超えている。5年後との中期予測では2020年、2025年もほぼ横ばいの支出金額を予測している。年代別でパンの支出金額がもっとも多いのが40歳代でコメの消費構造とは違う。麺類の全体の年間支出金額は2005年当時6700億円程度であったが、2015年には7600億円と大きく伸びた。2020年、2025年の予測ではコメと同じように減少するが、2020年の比較ではコメと同じ程度の支出金額が見込まれている。麺類の予測ではカップ麺が2020年、2025年も伸び続けるという予測も出ている。
コメ業界で平成29年に起きた10大ニュースと言うものがあれば、確実にベスト10に入ったと思われる出来事の中に「大手回転寿司チェーン店がシャリの代わりにダイコンを使った」と言うニュースが入るだろう。このニュースをテレビで見た大手卸の営業部長は直ぐにその回転寿司チェーン店に行き、自らダイコン寿司を食べてみた。口が裂けても「美味かった」とは言いたくないので「不味くはなかった」と言うしかなった。
もう一つ10大ニュースに入ると思われるのは、最近のトレンドとして夕食にフランスパンを購入する主婦が増えていることを報じたテレビ番組で、そこにはフランスパンを主食代わりにみそ汁と一緒に食べている姿が映し出されていた。こうした食シーンの変化を嗜好の変化として片づけてしまうのは簡単だが、本質的な議論が欠けているようにしか思えない。
それは言うまでもなくコメの価格である。需要を拡大できる価格、需要を創造できる価格、川上から川下まで円滑に流れる価格、それを決める公平で透明性のある「あるべきコメの市場」とはどのようなものなのか? そうした市場を作ることこそが「マーケットイン」と言う発想の原点で、そうした市場がない限りマッチングなど出来るはずがない。
(関連記事)
・30年度農林予算 前年度比50億減の2兆3021億円確保(17.12.22)
・需要に応じたコメ生産に向け全国組織が発足(17.12.22)
・29年産米の値上がりと30年産問題(17.12.18)
・29年産米価格 前年比108%(17.12.13)
・30年産米生産量 全国735万t(17.12.08)
・【農業と地域守り抜くJA自己改革着実に】姉妹3JAトップが意見交換(後半)(17.12.07)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(118) -改正食料・農業・農村基本法(4)-2024年11月16日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (35) 【防除学習帖】第274回2024年11月16日
-
農薬の正しい使い方(8)【今さら聞けない営農情報】第274回2024年11月16日
-
【特殊報】オリーブにオリーブ立枯病 県内で初めて確認 滋賀県2024年11月15日
-
農業者数・農地面積・生産資材で目標設定を 主食用生産の持続へ政策見直しを JAグループ政策要請①2024年11月15日
-
(410)米国:食の外部化率【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月15日
-
値上げ、ライス減量の一方、お代わり無料続ける店も 米価値上げへ対応さまざま 外食産業2024年11月15日
-
「お米に代わるものはない」 去年より高い新米 スーパーの売り場では2024年11月15日
-
鳥インフル 米オレゴン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月15日
-
「鳥インフル 農水省、ハンガリー2県からの家きん・家きん肉等の輸入を14日付で一時停止」2024年11月15日
-
「鳥インフル 農水省、ハンガリー2県からの家きん・家きん肉等の輸入を13日付で一時停止」2024年11月15日
-
鳥インフル 米ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月15日
-
南魚沼産コシヒカリと紀州みなべ産南高梅「つぶ傑」限定販売 JAみなみ魚沼×トノハタ2024年11月15日
-
東北6県の魅力発信「食べて知って東北応援企画」実施 JAタウン2024年11月15日
-
筋肉の形のパンを無料で「マッスル・ベーカリー」表参道に限定オープン JA全農2024年11月15日
-
「国産りんごフェア」全農直営飲食店舗で21日から開催 JAタウン2024年11月15日
-
農薬出荷数量は3.0%減、農薬出荷金額は0.1%減 2024年農薬年度9月末出荷実績 クロップライフジャパン2024年11月15日
-
かんたん手間いらず!新製品「お米宅配袋」 日本マタイ2024年11月15日
-
北海道・あべ養鶏場「旬のりんごとたまごのぷりん」新発売2024年11月15日
-
日本各地のキウイフルーツが集まる「キウイ博」香川県善通寺市で開催2024年11月15日