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パックご飯は輸出目玉商品になるか?2018年2月6日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

◆新商品 続々登場

 国内最大の無菌包装米飯(以下パックご飯)の製造販売メーカー、テーブルマーク(株)。年間生産量は2億5000万食、5万tにもなる。同社は魚沼水の郷工場に今年8月の完成を目指し21億円を投資して時間当たり7500食が製造できるパックご飯のラインを増設する。この工場にはすでに6ラインが稼働しており、増設するラインが完成すると生産能力は時間当たり4万6500食にもなる。
 (一社)食品需給研究センターの調査によるとパックご飯の年間生産量は平成22年当時9万9409tと10万t以下であったが、平成28年には14万5326tまで増大。直近の29年11月の生産量は前年同月比13.7%増の1万4343tで、すでに1月から11月までの生産累計数量は前年度を上回っており、拡大に拍車がかかっている。全体的にコメ消費が減少している中でこれだけの伸びを示しているコメ加工食品は稀有な存在と言える。
 テーブルマーク(株)は1月25日に開催した春夏新商品記者発表会でパックご飯の新商品として1食300gという「特盛」や石川県産ミルキークイーンを使用したパックご飯を3月1日から販売するとした。また、業務用分野にもコシヒカリを使用したパックご飯を投入することにしている。業務用のパックご飯はそれ専用に作ったものではなく市販のコシヒカリパックご飯と同じもので包装デザインが1色になっているだけである。同社によると以前から外食店やホテルなどでご飯の追い炊きの手間を省くためパックご飯の引き合いがあり、この分野に本格的に営業攻勢をかけることにしている。
 ただ、気になるのは包装資材や運送費、人件費の値上がりに加え原料コメ代金が値上がりしており、2月1日出荷分からパックご飯30品目を1%~17%値上げすることにしており、値上げによる需要の減退が懸念される。この点について同社では「パックご飯の伸びはライフスタイルの変化に支えられている」とし、新年度は10%の伸びを見込み、あくまでも強気である。ライフスタイルの変化とは、食が「個食化」「簡便化」の方向へ進んでいることで、同社の調査ではパックご飯の購買者は子供が独立した夫婦2人世帯の他、年代に関係なく万遍に伸びていると言う。とくに5食入りセットなど、まとめ買いする消費者が増えているため「10食」セットに力を入れることにしている。

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◆「日本産米」のアピールがカギ

 パックご飯に力を入れているところは同社だけでなく、ウーケも3ライン目の増設を決定したほかアイリスフーズも工場を新設、2月から福島県相馬産「天のつぶ」を使用したパックご飯を新発売する。まさにパックご飯は順風満帆に見えるが、ここまで来るのには当然のこととして大きな壁があった。
 業界の牽引車的な役割を果たして来た「さとうのごはん」の商品名で知られる佐藤食品工業は、販売当初はまったくパックご飯が売れなかった。当時、同社は売上額に匹敵するテレビCMを打つという大きな賭けに出て、これが奏功して今日の礎を築いた。農水省はコメ・コメ加工食品の輸出量を平成31年に10万tにすべく輸出拡大戦略プロジェクトを開始、その主力商品としてパックご飯をあげ、各国でプロモーション活動を開始し始めた。コメ・コメ加工食品分野だけで新年度予算を16億円(補正含む)も注ぎ込むことにしており、まさに佐藤食品並みの賭け。
 海外の日本食品市場に詳しい関係者によるとアメリカ西海岸はヒスパニックやアジア系住民が6割を占めるまでになっており、そうした住民を対象にしたアジア各国の食品を一同に集めた巨大食品スーパーがあり、そこで日本のパックご飯は人気になっているという。
 ただし、このパックご飯は日本で作られたものではなく韓国で作られたもの。表示は日本語で全く見た目は日本製のパックご飯と違わず、日本のパックご飯製造機で作ったもので違うのは中身の原料米が韓国産だということだけ。すでに日本で製造されたパックご飯製造機は世界37カ所で稼働しており、パックご飯が日本の専売特許ではなくなっている。この賭けを成功させるには『日本産パックご飯』の違いをどうプロモーション出来るかにかかっている。

 

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