【リレー談話室・JAの現場から】目指すべき採用のかたち2018年7月10日
ここ数年、企業の採用現場では人材不足が顕著で、特に地方の中小企業にとっては、少子高齢化や都市部への人口集中などの影響によって、人材確保が深刻な問題になっています。
有名企業が、様々な手法で学生と接点を持ち、優秀な人材の早期確保に動いている中で、資源に限りがある中小企業が求める人材を確保していくには、採用活動も戦略的に実践していくことが必要だと強く感じています。
当組合においても新規採用職員募集へのエントリー数はここ数年減少の一途であり、採用選考に至るまでのプロセスの改善が喫緊の課題だと感じていました。そこで今年度は特に「学生視点」をコンセプトに採用選考までのプロセスを構築していきました。
デジタルネイティブである現代の学生にとって、インターネットでの情報収集が常識となり、それは就職活動においても例外ではありません。大学での企業研究会に参加した際には大手就活サイトと連携し、幅広く学生への情報提供を行っていきました。説明資料にはQRコードを添付し、組織情報へのアクセスや採用説明会の予約、エントリーまでスマホ一台で完結する内容にすることで、利便性が向上し、学生側から手軽にアプローチできるようになり、採用説明会への応募も例年と比べ飛躍的に増加しました。
採用説明会の企画では若手職員が中心となり、学生がどういったことを求めているのかニーズをリサーチしたうえで設計するように心掛けました。事務的で一方的な説明は最小限にして、大学での企業研究会で多く聞かれた質問をQ&A形式でスライド紹介することで学生が抱く疑問の解消に取り組みました。
また、学生が特に採用説明会において求めていることの一つに「若い職員との対話」があります。なぜなら、そこから組織の雰囲気や働きやすさを感じ取り、自分が実際に働く姿をイメージできるからです。そこでレクリエーションを交えて学生同士を交流させ緊張感をほぐし、和やかなムードを作ったうえで若手職員との対話を設けたところ、学生からは積極的に質問が投げかけられ、採用説明会が徐々に盛り上がっていくことを肌で感じることができました。
採用説明会に参加した学生には、選考日程等の情報提供を含め、継続的に接点を持ち、エントリーまでのアプローチを続けていきました。結果的に、最終エントリーをしてきた学生のうち、説明会参加者は7割以上と説明会から多くの学生を最終エントリーまで繋げることができました。
今回、「学生視点」で取り組んできた採用募集は、まずまずの手ごたえを得ることができました。全体を振り返れば「効果的な広報手段」によって幅広い学生に求人情報を伝え、採用説明会では「組織の風土や理念」の理解と「若手職員との対話」で職員や職場の雰囲気を掴んでもらうこと、そして多くの学生に共感してもらうことで志望度の高い母集団を形成できる、と実感できた結果だったと思います。
しかし、急激に売り手市場となっている近年の採用活動では、内定を出してからも全く気を抜くことはできないのが現状です。今後は内定後の学生と引き続きコミュニケーションを取り不安や悩みを解消していけるようフォローし、就職後のイメージを固めてもらうよう取り組んでいきたいと思います。
採用活動はたくさんのエントリーを獲得することが最終目的ではありません。今後の展望としては採用活動の充実はもちろんのこと、組織のビジョン、労働環境、教育制度など組織内部の充実を図ること、そしてそれをしっかりと学生視線で伝えられること、これこそが「採用力」を高めるうえで重要な課題だと考えています。
つまり採用活動は、最終的に「選ばれる」組織になること、それこそが一つのゴールなのかもしれません。
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