人づくりでJA鹿児島きもつき JA全中の人事労務セミナーで報告2018年2月6日
JA全中は2月5、6日、平成29年度人事労務トップセミナーを開いた。JAの常勤役員や人事担当者など約60人が出席し、JAの人材育成、労務管理の現状と課題、今後の進むべき方向性などについて学び、意見交換した。このなかで、JA鹿児島きもつきの実践報告があり、「一人ひとりを大切にする」という理念のもと、昨年の全国和牛能力共進会で日本一を獲得した「チームきもつき」の取り組みが、出席者の関心を集めた。
セミナーでは肱岡弘典JA全中常務が「JAの人事管理を巡る現状・課題と今後の対応方向」について報告。新卒では、特に大卒の求職者が少ない、内定辞退者が多いこと、さらに農協改革の影響などで採用に苦戦しているJAが多い現状から、肱岡常務は、(1)就職活動者への説明会・広報の積極化や合同説明会への参加などで説明機会を増やし、JAの魅力をアピールする、(2)CS(顧客満足度)向上のためにはES(従業員満足度)向上が必要であることを踏まえ、ES向上プロジェクトなどによる検討の必要性を指摘した。
また"人(ヒト)基準"から"仕事基準"へシフトさせ、高年齢者をJAの戦略として明確化して、「意欲・能力・適性・健康状態によって処遇するべき」として、人手不足のJAが多いなかで、高齢者の戦力活用を強調した。さらに現在、メンタルヘルス関係の休職者を抱えているJAが4割強あり、「ストレスチェックの確実な実施など休職者、休職予備軍を出さないよう職場環境を整備する必要性がある」と話した。
最後に肱岡常務は、JA経営者として肝に命じておくべきこととして、(1)課題解決に向けたリーダーシップの発揮、(2)自らの言葉で職員に語りかけ、自ら率先する、(3)働き易い職場の創出とESの向上が健全な経営に直結することを常に意識することを挙げた。
(写真)JA鹿児島きもつきの報告を聞く労務トップセミナー
◆「チームきもつき」軸に
「NO1きもつきが目指すイノベーション」で実践報告した鹿児島県JAきもつきの下小野田寛代表理事組合長は、昨年の和牛全共日本一、GI(地理的表示)登録(辺塚だいだい)を達成した「チームきもつき」の活動を紹介。「チームきもつき」とは、「組合員・役職員がチームとしての一体感を持ち、チームの勝利に向け、いっしょに取り組む姿勢」と言う。
そのためには「一人ひとりの力と想い、個性が尊重され、発揮されることであり、孤独感・孤立感が高まることなく、安心して仕事や生活ができるようにすることだ」と同組合長。この考えで、処遇の見直しを行い、眠っている人材を昇格させ、各種手当てを見直し、役職定年を58歳から60歳に引きあげた。
(写真)下小野田組合長
また教育研修制度の充実、プロジェクトの活用、教育研修基金の積み立てで人財創発センターの創設などを行った。この中で特に、さまざまなテーマで立ち上げた職員のプロジェクが活発に活動。全職員の運動会や、JAオリジナルの職員用「灯台手帳」の作製、全職場のダンスパフォーマンスなど、次々と斬新なアイデアが出て、実現させた。全国和牛能力共進会では、「万羽鶴プロジェクト」、「支援金ポロシャツの販売」、「応援メッセージ抽選会」など、生産者・JA役職員が一丸となった「チームきもつき」の取り組みが、日本一につながった。
下小野田組合長は、「新しい提案に、職員のノリがよくなった。農家所得を継続的に実現するためは、農畜産物の付加価値創造が不可欠。そのためにはあらゆることにたゆまなく挑戦することが求められる。そのような職場の雰囲気が生まれてきた」と、人づくり、職場づくりに手応えを感じている。
セミナーでは、これらの講演・報告をもとに分科会で、人材育成に向けた人事制度・教育研修体系、職場づくりの現状と今後の方向性などを協議した。最後に「JA事業運営と労務管理」で、中山・男澤法律事務所の中山慈夫弁護士が講演した。
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