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アクティブ・メンバーシップ確立へ 家の光フォーラム2018年8月6日

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・先進JAの実践に学ぶ

(一社)家の光協会は8月2、3日の両日、横浜市で「家の光文化賞JAトップフォーラム2018」を開いた。「組合員を中心とした協同組合づくりにどう取り組むか」をテーマに、JA教育文化活動の実践・強化によるアクティブ・メンバーシップの確立について実践報告とパネルディスカッション行った。全国のJAから組合長など常勤役員、約430人が出席した。

アクティブ・メンバーシップ確立へ 家の光文化賞JAトップフォーラム2018 会場のようす

 JAグループは2019年3月までを自己改革集中実践期間として定め、第27回JA全国大会で決議した自己改革とアクティブ・メンバーシップ強化のための取り組みを進めている。フォーラムでは、教育文化活動によってどのようにアクティブ・メンバーシップを進めていくかについて意見交換した。
 来賓として出席したJA全中の中家徹会長は、政府の設定した自己改革推進期間が来年の5月に期限を迎えることを指摘し、「改革の確実な成果が求められている。危機意識をもって自己改革に取り組み、組合員にその成果が見えるように努めて欲しい」と述べた。
松本憲・JA加美よつば代表理事組合長 またフォーラムのテーマについて、福井県立大学の北川太一教授は、JA自己改革を「協同組合のアイデンティティ(らしさ)を取り戻すこと」と位置付け、取り組むべき課題として、「小さな協同」を数多くつくり、これを「こつこつ育みながら、それらを緩やかに重なり合わせ育てていく」ことが重要と説明。こうした活動を小さな事業へ繋げていくことが大事だと話した。
 実践報告では、宮城県のJA加美よつば、神奈川県のJAさがみ、熊本県のJA菊池が報告。加美よつばは「清流の里に未来(あした)を拓く」をキャッチフレーズに職員の共通意識の醸成に努め、「常に考える、常に気づき、常に実践」を職員に呼びかけている。これに基づいて、支店ふれあい活動、次世代への協同活動、准組合員・員外利用対策などの取り組みを強めている。

(写真)松本憲・JA加美よつば代表理事組合長

 

 とくに松本憲組合長は、若い職員の育成の必要性を強調する。同JAでは「人が元気」「組織が元気」「地域が元気」になることをモットーに若手職員による懸賞論文発表会を行っている。そこでの意見を取り上げて、年齢の近い若手の職員が新人職員の仕事や職場での生活をサポートする「エルダー制度」を取り入れた。「若手から教育し、先輩の指導で間違いない農協づくりを進めている」と同組合長は、自信を示す。
大川良一・JAさがみ代表理事組合長 JAさがみは、同JAのCS改善活動について報告。これまでのさまざまな改革を通じて明らかになったこととして、(1)改革に取り組んできたのは一部の職員だけ、(2)広域合併で組織の規模が大きくなった反面、組合員との接点が希薄化、(3)事業の縦割りによる人的結合・総合性の喪失を挙げる。その対策としてCS活動に取り組んだ。
 同JAの大川良一組合長は「いま何をすべきかを全員で議論し、自らが考え、行動し、改善することであり、CS改善は自己改革に対する意識改革と人材育成だ」という。この考えで1支店1活動、組合員個別訪問による徹底した話し合いを実施。こうした活動を通じて、同組合長は、「原点に戻るのではなく、理解してもらうことだ」と強調する。

(写真)大川良一・JAさがみ代表理事組合長

 

三角修・JA菊池代表理事組合長 JA菊池は小集団活動について報告。目的は、同僚・先輩と時間を共有し、話し合いのできる場を提供することであり、50を超えるグループがそれぞれテーマを決め発表と報告を行っている。この小集団活動は、「成果を求めるのでなくプロセスを重視する。それによって自分で考え、行動する環境をつくることに狙いがある」と同JAの三角修組合長はいう。
 こうした職場環境づくりには常勤役員の役割が重要であり、三角組合長は自ら「組合長からのメッセージ」をホームページで発信するなど、リーダーシップを発揮している。
 2日目のパネルディスカッションでは、「人材の育成は長いスパンがいる。農協版の足長おじさんのような仕組みがあってもいいのでは」(松本組合長)、「JA改革には、常勤役員が、断固やっていくのだという姿勢を明確に示す必要がある」(大川組合長)、「職員は組合長の分身。トップの考えを理解することが職員の役目のひとつ」(三角組合長)などの発言があった。

(写真)三角修・JA菊池代表理事組合長

 

浜矩子・同志社大学教授 最後に同志社大学浜矩子教授が「協同組合とシェア・ケア」について講演した。同氏はグローバル時代とはどんな時代であり、それが何を混迷させているのか、また混迷の時代が何を生み出しているのかを明らかにし、混迷を突破する一つの方向としてケアシェアリングを挙げた。

 

◆ケア・シェア社会を

 浜教授は、グローバル時代とは「誰も一人では生きていけない」「誰も一人では突出できない」社会だという。つまり、東日本で一つの部品工場がストップすると全体の生産が止まる。また、お金が自由に国境を越える今日、一国だけで経済的に生きていくことはできないというわけだ。
 従って、グローバル社会は覇者がいない社会でもあるという。このため人々は不安と恐怖にさいなまれ排除に走る。不安と恐怖は、人々を偽予言者とファシズムにだまされ易くする。偽予言者は聞き心地のいいことを言い、敵は誰かを教えてくれる。そこにファシズムが、とくに若者の心を捉える。浜教授は安倍政権の「生産性向上」「働き方改革」の言葉にその兆候をみる。
 こうしたグローバル社会に対峙するものとして、浜教授は「シェア」する社会を挙げる。シェアには、「分かち合い」と「奪い合い」の2つの意味があるが、その違いは「ケア」にあるという。つまり介護であり、相手の気持になることである。「ケアリングシェアであればファシズムに勝てる。協同組合の心意気はケアの感性であり、希望がある」と、協同組合の意義を強調した。

(写真)浜矩子・同志社大学教授

 

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