農地の生物多様性を保全する新技術開発 農研機構2018年5月24日
・事例集と評価マニュアルを公開
農研機構は、生物多様性を保全する農地の管理技術をまとめた事例集を作成した。また鳥類などを指標に生物多様性の豊かな水田を判定する新手法を開発し、調査・評価マニュアルとして公開した。農業者や自治体が環境に配慮した農業を実践し、その取り組みによる生物多様性の保全効果を客観的に評価するのに役立つ。
近年、集約的な農業生産技術の普及や社会環境の変化によって農地やその周辺では生物多様性の損失が生じている。また、その損失に伴う生態系サービスの劣化(害虫発生を抑制する天敵や花粉を媒介する昆虫の減少など)も懸念されている。生態系サービスを損なうことなく、持続的な農業生産を実現するためには、生物多様性に配慮した農業の取り組みを普及する必要がある。そのためのツールとして、農業による生物多様性の保全効果を科学的に評価する手法の開発が急務となっていた。
そこで農研機構を中心とする研究グループは、生物多様性を保全する農地(果樹園と水田)の管理技術として、環境負荷の低い農薬の使用方法や果樹園での下草管理方法、水田での小水路や畦畔の管理方法を開発した。また、それらの環境に配慮した取り組みによる生物多様性の保全効果を客観的に評価する方法として、サギ類などを指標に、生物多様性の豊かな水田を判定する新手法も同時に開発した。
この評価法では、指標生物としてサギ類やその餌となる魚類、クモ・昆虫類などを選択し、それらの個体数や種数をもとにスコア化し、総合判定を行う。環境に配慮した農業の生産物であることを科学的に示すことにより「農産物の付加価値の向上やブランド化にも貢献できる」と機構では話している。
なお、機構では農地の管理技術では「事例集」を、生物多様性の豊かさを評価する手法については「調査・評価マニュアル」を公開。それらは機構のウェブページからダウンロードできる。
※農業に有用な生物多様性を保全する圃場管理技術事例集
※鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル
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