依然減らない死亡事故 農作業事故に万全の対策を2019年1月30日
今年3月から「農作業安全確認運動」が始まる。農水省の調べによると、農作業の死亡事故は依然として減っておらず、その8割は65歳以上の高齢者という状況が続いている。死亡に到らなかった事故を含め、抜本的な農作業事故対策が求められる。
平成29年の農作業死亡者は304人だった。これは前年に比べ8人少なかった。過去10年で死亡者が多かった平成21、22年に比べると70人ほど減っているが、毎年、事故防止を呼びかけている中で、依然高い水準にあるとみることができる。
特に農業機械作業中の事故が多く全体で211人と、死亡事故の7割近くを占める。その中でも乗用トラクターによる死亡が3割、92人。農業機械作業の事故原因別では、「機械の転落・転倒」が91人で4割強を占める。
全体の死亡者の9割近い266人が男性で、同じく全体で65歳以上が8割強の256人となっている。つまり乗用トラクターを運転する高齢の男性の転倒・転落事故による死亡者が多いということを示す。
このほかの事故原因では、「ひかれ」が30人、「挟まれ」が29人、「機械からの転落」が15人だった。年齢層では80歳以上が最も多く128人、次いで70~79歳84人、65~69歳44人と、高齢になるほど死亡者が多い傾向がはっきり出ている。月別では5月と10月が多い。
なお施設事故は作業舎の屋根等や高所からの「墜落・転落」が8人、それ以外の事故では、「ほ場・道路からの転落」が23人、次いで熱中症が22人だった。
農水省は、31年春の農作業安全確認運動で「この調査を活用し、農作業事故防止に向けた取り組みを強化したい」と呼びかけている。一つの重大事故の背景には、29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するという法則(ハインリッヒの法則)がある。死亡事故の撲滅は当然だが、その前の事故にならない「ヒヤリハット」をなくすよう心掛ける必要がある。
(写真)乗用トラクターの作業は特に注意を
(関連記事)
・農作業事故は年間7万件発生と推測 JA共済連(18.08.10)
・【厚生事業部門受賞】心を耕す仕事にロマンを 中澤あけみ・JA長野厚生連健康管理センター元保健師長(18.07.19)
・農業機械技術クラスターが始動!(18.05.24)
・農業者向け保障を拡充 JA自動車共済仕組改訂(18.02.16)
・農作業死亡事故 65歳以上が8割超-28年調査結果(18.02.14)
・農作業の安全確認をー3月1日から農作業安全確認運動(19.01.23)
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日