農政:緊急企画:許すな!日本農業を売り渡す屈辱交渉
農業者を愚弄するんじゃねえ!【時田則雄】2018年10月9日
十勝の大地から
日米両国が日米物品貿易協定(TAG)の交渉開始に合意したことを受け、全国農業協同組合中央会の中家徹会長は次のような談話を発表した。「現場の不安を助長しないよう、交渉過程を可能な限り透明化してほしい」(「十勝毎日新聞」9月28日)ー。この談話は老骨に鞭打って野良仕事をしている私にとっては極めて物足りない。
なぜなら、政府は農業を犠牲にするこのような関税交渉を、いままでに何度も繰り返して来たからであり、安倍晋三首相の思わくがはじめから見え透いているからだ。従って、今回の交渉に対して、「またか!農業者を愚弄するんじゃねえ!」と思ったのは決して私だけではあるまい。
(写真)長いもの圃場
私は就農して50余年になるが、この間、日本の農業は自動車などの輸出産業の踏み台にされ続けてきたことは、はっきりとしている。私の住む十勝は日本有数の畑作酪農地帯であり、1戸当たりの経営規模も大きいが、今後も農業を犠牲にする関税交渉が続くのであれば、十勝の農業は根底から崩れる恐れがある。
日本の食料自給率はカロリーベースで38%。これは先進国の中でも最下位である。いまのような農業政策を続けていくのであれば、自給率は更に下がることは間違いない。農業就労者の高齢化もいっそう進むだろう。安倍首相は重要政策のひとつとして「地方創生」を掲げているが、このまま農山漁村が衰退し続けるならば、それは掛け声だけで終わってしまうだろう。
十勝平野にも冬が近づいて来た。既に霜が降りた地域もある。そうしたなか、私の農場でも間もなく大豆の収穫が始まる。小麦の収穫跡地に播いた緑肥作物のヘイオーツやヒマワリの鋤き込みもしなければならない。ナガイモの収穫も近づいて来た。それらはすべて根雪の前に終わらせなければならない。従って、猫の手も借りたいほど忙しいが、心のなかでは農政に対する怒りが渦巻いている。為政者はそのことをしっかりと心に刻んでもらいたい。
(TAGに対する緊急特集の最近の記事)
・トランプの狙いはTAG(日本語)という名のFTA(英語)でTPP以上を実現すること【谷口信和・東京大学名誉教授】
・止めるしかないTPP超え必至の交渉【磯田宏・九州大学教授】
・日米の新たな通商交渉について【小林光浩・JA十和田おいらせ代表理事専務】
・これは「トランプ(T)、安倍(A)のごまかし(G)」だ【国民民主党・玉木雄一郎代表】
・国民とTPP11参加国への裏切り【田代洋一横浜国大・大妻女子大名誉教授】
・きちんと説明を【阿部勝昭・JAいわて花巻代表理事組合長】
この特集の記事は下のまとめページからご覧ください。
TAGに対する緊急企画「許すな!農業を売り渡す屈辱交渉」のまとめページ
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(123) -改正食料・農業・農村基本法(9)-2024年12月21日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (40) 【防除学習帖】第279回2024年12月21日
-
農薬の正しい使い方(13)【今さら聞けない営農情報】第279回2024年12月21日
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
24年産米 11月相対取引価格 60kg2万3961円 前年同月比+57%2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日