農政:自給率38% どうするのか?この国のかたち -食料安全保障と農業協同組合の役割
【歌手・加藤登紀子さんインタビュー】農的幸福 今こそ国民で実現を(4)2018年10月15日
農業は社会の分母 土を耕し愛を育む
大金 多様な担い手を組み合わせ、食料の自給率を向上させていくためにも、そんな基本的な考え方が大切ですね。
加藤 藤本が提案したことのなかには、農業が食料の供給源であるという原則があってのことですが、本当は分母の農業に、分子としては食料だけでなく教育、福祉、医療、さらにはレクリエーションまであるのだということでした。だから老人ホームにも農業があるべきだし、病院にも農地がついているべきだし、学校にも保育園にも農業があるべきだということでした。
大金 「食農教育」や「体験農業」はもとより、最近では「農福連携」など農業と福祉とが結びついた取り組みも進んできていますから、農業に誇りを取り戻す上でも、加藤さんには引き続きパワフルなエールを送っていただきたいと思います。
加藤 「愛を耕すものたちよ」という曲を作りました。人間には、自分がしていることは素晴らしいんだと精神的に支えてくれるイメージが必要だと思います。それが「耕している」ということの意味についてのメッセージで、ここから本当に大きな愛が育っていくというイメージです。耕さないと愛は育たないんだ、枯れてしまうんだということです。これは都会の人にも持ってもらいたい。土を耕すということは、すごく力をくれることですからね。
大金 やる気で農業に携わる人々には明確な価値観があって、この道を生きていくんだという哲学がないと、とてももたない時代です。頼もしくがんばっている皆さんに、加藤さんのメッセージは大きな影響力があると思います。ところで、望郷の思いはその後満たされましたか。
加藤 望郷というのは、恋愛と同じで想い続けるものなんです。恋愛も、結婚したから達成したと思ってはいけない。
大金 藤本さんとのご関係では、いかがですか。
加藤 なかなか難しい相手でしたから、とっても良かったと思っていますよ。想い続けるという意味では、今も、これからもです。
大金 ありがとうございました。これからもますますお元気で、私たちにぜひ大きな勇気をおすそ分けいただきたいと思います。
インタビューを終えて
シンガー・ソングライターとしての半世紀を超える独自のキャリアは知られるとおり。著書も数多い。歌との出逢い、農との出逢い、そして人生を率直に語って溢れるような情熱が若々しい。オープンマインドの優しさが、パワフルな魅力に重なり、「お登紀さん」の愛称で親しまれる所以が肌で感じられた。国の内外で爽やかな風のように活動するそんなアーティストが、農業を愛の原点とおっしゃるエールからは、家族農業の魅力や基本的な価値を改めて教えられた。(大金)
加藤登紀子 ほろ酔いコンサートツアー2018
歌手の加藤登紀子さんは11月16日~12月24日、「ほろ酔いコンサートツアー2018」を下記の全国9都市で10公演実施する。
今年は「ロシアと1968」という2つの原点を軸足に歌い、念願のサハリン、ウラジオ公演を実現。2枚組CDも発売し、暮れには3回目の25歳を迎え、人生4幕目をスタートする。これらを祝し、会場ロビーで毎回酒が振る舞われる。
申込みは、全国のチケットぴあやローソンチケットの他、トキコ・プランニング(TEL:03-3352-3875またはチケット予約サイトTOKIKO WORLD)からできる。全席指定席で6500円(税込み・お酒付き)。学生席は1000円(税込み)だが、トキコ・プランニングのみの取扱いとなる。未就学児の入場は不可。DAYSJAPAN読者は、優先予約受付の特典がある。
公演スケジュールは以下の通り。
<11月>
16日(金)福岡・レソラホール
17日(土)佐賀・浪漫座
30日(金)沖縄・ミュージックタウン音市場
<12月>
2日(日)京都・京都劇場
9日(日)香川・サンポートホール高松
12日(水)神奈川・関内ホール
15日(土)東京・よみうりホール
16日(日)東京・よみうりホール
23日(日)大阪・梅田芸術劇場
24日(月・祝)名古屋・御園座
自給率38% どうするのか?この国のかたち -食料安全保障と農業協同組合の役割のまとめページ
(加藤登紀子さんが登場した記事一覧)
・【インタビュー】歌手・加藤登紀子さん 「生きるとは土を耕すこと」
・【第25回JA全国大会特集】 新たな協同の創造と農と共生の時代づくりをめざして
・特別対談 歌うっていうことはいちばん農業に近い
重要な記事
最新の記事
-
【青年大会特集座談会】国の礎「食」を支える自負を(2)京大藤井聡教授・田中均組合長・久保田治己氏2025年2月28日
-
【青年大会特集座談会】国の礎「食」を支える自負を(3)京大藤井聡教授・田中均組合長・久保田治己氏2025年2月28日
-
【米の食味ランキング】猛暑・残暑で西日本のランク落ち目立つ 徳島南部コシヒカリは初の「特A」2025年2月28日
-
【JA全国青年大会】JA青年の主張 最優秀賞に谷本弾さん(JAあきた北青年部)2025年2月28日
-
全農 政府備蓄米入札への応札方針決める2025年2月28日
-
(424)「米国農務省の長期見通し」雑感【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月28日
-
大谷翔平選手が「ファミリーマートおむすびアンバサダー」就任「ぼんご監修おむすび」新発売2025年2月28日
-
東北農林専門職大学、南東北クボタと「スマート農林業」で連携協定締結 山形県新庄市2025年2月28日
-
【役員人事】JA三井リース(4月1日付)2025年2月28日
-
「令和7年2月17日からの大雪」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年2月28日
-
宮崎ガス「カーボン・オフセット都市ガス」のJクレジットを媒介 農林中金2025年2月28日
-
農機の装備や販社連携、オンライン企画一体で農作業安全を推進 クボタ2025年2月28日
-
チラシやHP、SNSで農作業の安全を啓発 体験型研修も実施 ヤンマーアグリ2025年2月28日
-
安全装置を採用、機種別広報で農作業安全を啓発 三菱マヒンドラ農機2025年2月28日
-
農業女子プロジェクトや社外研修でも農作業安全を啓発 井関農機2025年2月28日
-
農業用窒素固定菌資材「エヌキャッチ」 キャンペーン ファイトクローム2025年2月28日
-
【役員人事】雪印メグミルク(4月1日付)2025年2月28日
-
飼料添加物メチオニン事業で伊藤忠商事と包括的販売提携 住友化学2025年2月28日
-
有機JAS認証取得 国産素材にこだわる有機ラーメン登場 コープ自然派2025年2月28日
-
鳥インフル 米ミシシッピ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年2月28日