農政:自給率38% どうするのか?この国のかたち -食料安全保障と農業協同組合の役割
特集「自給率38% どうするのか? この国のかたち-食料安全保障と農業協同組合の役割」の趣旨2018年10月3日
『一億国民の命を、より良く、より安く、よりうまいもので、どこの国が保障してくれるんだ。こう、私どもは問いかけたい。アメリカが保障してくれるのか。豪州が保障してくれるのか。そうなった場合、もはや独立国家の独立した民族ではありません。生活の手段を持たずに、どこかへ寄りかかるものを、日本では居候と言う。別の言葉で寄生虫とも言う。われわれは、アメリカに寄生して生きていこうというものではありません。ソ連、中国に寄生していこうとも思いません。だからやっぱり農業というものは、重要産業中の、重要中の重要産業であるという前提。食糧自給は100%に近い線で図るということに徹してもらわんと。農業を顧みないで工業化していこうということになると、恐らくその国は長い国家の生命を保つことはできないですよ。』(宮脇朝男語録)
1967(昭和42)年から75年(昭和50)まで全中会長を務めた宮脇朝男は数々の語録を残している。「食糧自給は100パーセントに近い線で図るということに徹してもらわんと。」
こう訴えた当時、わが国の食料自給率は60%だった。それでも宮脇は「日本農業が壊滅する方向で自由化することはぜったいに認めらない」との断固たる言葉も発している。
しかし、今や日本の食料自給率は38%まで低下、先進国では群を抜く低さだ。宮脇語録に従えば「もはや独立国家の独立した民族ではありません」となりはしないか。最後の一文、農業を顧みないようなら「恐らくその国は長い国家の生命を保つことはできないですよ」が、重く響く-。
◇ ◇
農業生産は国民の生存に不可欠な食料の供給はもちろん、水と国土の保全、農村景観の維持など多面的な機能を持ち、それは日本列島の暮らしと文化の礎でもある。その意味で食料自給率とは、この国の「かたち」に関わる重大な課題といえる。
しかしながら農村人口の減少や頻発する自然災害など農業生産基盤が脆弱化している事態に直面している。これらを国民的に議論するため特集「自給率38% どうするのか? この国のかたち」を企画した。飢餓体験など食料をめぐる歴史に改めて学び、食料安全保障の確立に向けた政策課題、そして農業協同組合はこの国民的課題にどう役割を発揮すればいいのか、多彩な有識者の提言やと生産現場の声などから考えていきたい。
(関連記事まとめ)
◆生協など
・自給率向上は未来への責任(1)【加藤善正・岩手県生協連合会顧問】
・「消費材10原則」に食料自給力向上 持続可能な生産消費確保へ【加藤好一・生活クラブ生協連合会会長】
◆個人・その他の団体など
・世界穀物戦略 食糧・水危機に備えよ(1)【柴田明夫・(株)資源・食糧問題研究所代表】
・食料安全保障の確立へ 「農」を軸に新基幹産業(1)【内橋克人・経済評論家】
・【対談】韓国農協「農の価値」国民にアピール(1)【キム・ビョンウォン韓国農協中央会会長・山田正彦元農林水産大臣】
・【歌手・加藤登紀子さんインタビュー】農的幸福 今こそ国民で実現を
・わが家の自給、地域の自給、そして国の自給へ ~JAは地域社会の守護神~1【星 寛治(高畠町)】
・【作家・佐藤優氏に聞く】農業に自信と誇りを 守るべき核心明確に
・内田樹氏に聞く「国民を飢え死にさせない」(1)
・【特別寄稿】「農なき国の食なき民」経済の破綻は即飢餓
・【韓国レポート】「憲農運動」で農民の底力示す
◆JA・JAグループ(退職者含む)
・誇り持って国民の食料を担う 農への理解を盟友一丸で発信(1)【インタビュー水野喜徳・JA全青協会長】(10月30日更新!)
・【対談】国民のための農業・食料 今、農協が存在感示せ(1)【村上光雄・JA三次元組合長、鈴木宣弘・東京大学教授】
・欲しいだけ食料を輸入できる時代は終わる(1)【薄井寛・元JC総研理事長】
・飽食追求のいまだからこそ必要な飢餓の歴史教育(1)【薄井 寛・元JC総研理事長】
・あの時代 農家も飢えていた(1)【上山信一・農林中金元副理事長】
・【JA全中・中家徹会長に聞く】食料安全保障の確立を国政の基軸に
・第1回 食糧を農産物貿易に依存する危うさ【普天間朝重・JAおきなわ代表理事専務】
・十勝「開拓イズム」次世代へ 食料生産の基本忘れず
・【北海道十勝農協連】小さな農協の大きな挑戦日本一の"農業王国"(1)
◆大学
・食料安全保障に日本農政はどう向き合うべきか(1)【谷口信和・東京大学名誉教授】
・食料自給率と食料自給力(1)【田代洋一横浜国立大学・大妻女子大学名誉教授】
・提言・食料難の経験 きちんと伝える【鈴木 宣弘・東京大学教授】
・食料は重要な戦略物資隣の国、中国・米国は何を考えているか【三石誠司・宮城大学教授】
・「5ポリス構想」を実現【今村奈良臣・東京大学名誉教授】
◆国会議員
・【対談】自給率向上の具体策を 農業あっての地域・国家(1)【山田俊男参議院議員・菅野孝志JAふくしま未来代表理事組合長】
・【石破茂・衆議院議員に聞く】社会保障と6次化をキーワードに 農業・農村の発展を
・【福田康夫元首相に聞く】東京一極集中は農業の敵 見直そう国の姿 根本から
・【座談会・与党議員に聞く】食料自給は国の責務 「田舎」守る政治を(1)
重要な記事
最新の記事
-
JAみやざき 中央会、信連、経済連を統合 4月1日2025年4月2日
-
サステナブルな取組を発信「第2回みどり戦略学生チャレンジ」参加登録開始 農水省2025年4月2日
-
JA全農×不二家「ニッポンエール パレッティエ(レモンタルト)」新発売2025年4月2日
-
【役員人事】農林中金全共連アセットマネジメント(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】JA全中(4月1日付)2025年4月2日
-
外食市場調査2月度 市場規模は2939億円 2か月連続で9割台に回復2025年4月2日
-
JAグループによる起業家育成プログラム「GROW&BLOOM」第2期募集開始 あぐラボ2025年4月2日
-
【役員人事】農林中金ファシリティーズ(4月1日付)2025年4月2日
-
【役員人事】PayPay証券(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】ヤンマーホールディングス(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】コメリ(4月1日付)2025年4月2日
-
鳥インフル 英カンブリア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年4月2日
-
片倉コープアグリ アクプランタと協業 高温・乾燥対策資材「スキーポン」を全国展開2025年4月2日
-
頭の体操「ゆっくり健康マージャン」宮前センターで初開催 パルシステム神奈川2025年4月2日
-
鹿児島県志布志市へ企業版ふるさと納税 1100万円など寄附 渡辺パイプ2025年4月2日
-
JA埼玉中央「農業従事者専用ローン商品」取り扱い開始 オリコ2025年4月2日
-
【役員人事】ジェイカムアグリ(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】ヤマハ発動機(4月1日付)2025年4月2日
-
「市民活動助成金制度」158万円助成伝達式開催 パルシステム群馬2025年4月2日
-
「ハッピーターン」が止まらないい辛旨に『辛(から)ターン』発売 亀田製菓2025年4月2日