コメの画像取引は可能なのか? ~飛躍的な画像解析技術~2018年1月9日
1月11日に平河町の剛堂会館で開催される全米工の新年会を兼ねた情報交換会で新型穀粒判別器のお披露目が行われる。
全米工とは、正式名称を全国米穀工業協同組合といい、原料米搗精業者約100社で構成される全国組織である。全米工は毎月、東日本と西日本で情報交換会と席上取引会を開催している。席上取引で売買されるコメは、特定米穀(くず米)が主体で、事前にサンプル品が提示され、そのサンプルの品位を目視で確認しながらセリが行われる。サンプルには品位を示す表示がなされているものもあり、特に主食用増量原料に使われる中米は380匁などと記されている。匁(もんめ)とは容積重を示す単位で、以前は農産物検査法にも水稲うるち米1等の基準として1リットル当たり810g(390匁)以上という定めがあった。そうした名残りがあり、現在でもくず米の売買には匁が用いられている。ただ、全米工の会員社に入社した新入社員の中には「もんめって花いちもんめのもんめですか?」と聞く人もおり、全米工内部でも匁取引を変更したらどうかと言う議論もあった。しかし、商習慣は簡単には変えられず今日に至っている。
その全米工の取引会に初めて新型の穀粒判別器が持ち込まれ、開発した3社がそれぞれ自社製品の機能の説明と実際にサンプルの品位を計測するというデモンストレーションが行われることになっている。
これまでの穀粒判別器と新型の穀粒判別器はどこが違うのかと言うと第一に挙げられるのが飛躍的に向上した画像解析能力である。例えば任意に1000粒程度の玄米サンプルを計測すると、瞬時に一粒一粒の面積が計測出来、面積ごとの粒度分布がグラフに描かれ出てくる。玄米の大きさは見た目には全て同じに見えるが、グラフには山型になって出てくる。仮に一般主食用玄米に粒が大きい飼料用米が混入していた場合、どのようなグラフになるかと言うと山が二つ現れる。逆に粒の小さな未熟粒が混入していた場合も山が二つ現れ、その混入度合いもデータで確認できる。それだけではなく乳白粒、青未熟粒、死米粒、胴割れなど被害粒も一粒一粒色分けして画像で確認でき、その混入割合もデータとして出て来る。胴割れは人間の目視ではなかなか確認できないが、新型の穀粒判別器はわずか0.1mmの割れも見逃さない。こうした優れた機能を持った新型の穀粒判別器を検査補助機器としてではなく「検査機器」として認定してもらうべく一般財団法人全国瑞穂検査協会が中心となって農水省に働きかけている。
農産物検査法の大原則は「検査は人間の目視」というもので、これを改めて検査機器でも可とすれば、コメの検査制度ばかりかコメの取引手法まで一変させる可能性を秘めている。
あるIT企業はコメの取引をシステム化できないかに関心を持っており、この新型穀粒判別器に着目した。このIT企業が新型穀粒判別器を活用したコメの取引のイメージは「画像取引データベース&販売・購入オークションシステム」というもので、このIT企業のクラウドに売り手と買い手が接続し、それをオークション方式で取引を成立させるというもの。
具体的には、産地側の生産者、農協、集荷業者等検査登録機関は自社で集荷した玄米を新型穀粒判別器で画像解析し、IT企業のクラウドに送信する。買い手の卸や実需者もクラウドに接続、送られてきた画像データを基に購入価格を入力するとオークション方式で購入者を決定するというシステム。
画像によるオークション方式での取引は花卉市場ではすでに行われており、大田市場ではIT画像を使ったセリで取引される割合が15%になっているが、買い手はパソコンの画面上で一度に8レーンでセリが可能で、成約時間はわずか2秒である。セリの参加者は市場に行かなくても自宅でセリに参加でき、しかも端末の設置価格はわずか2万円と格安である。
そのシステムを運営している情報機器会社の部長氏にコメで出来ますかと聞いたら「簡単ですよ」という答えが返って来た。
(関連記事)
・驚愕の2025年コメの需要予測 (17.12.25)(17.12.25)
・29年産米の値上がりと30年産問題 (17.12.18)(17.12.18)
・「金のいぶき」と「花粉米」、2つの機能性米 (17.12.11)(17.12.11)
・小面積の稲作経営にチャレンジする新規就農者 (17.12.04)(17.12.04)
・ハイブリッド米で反収14俵 (17.11.27)(17.11.27)
・コメを食べてホームラン (17.11.20)(17.11.20)
重要な記事
最新の記事
-
飼料用米も重視 実需者と結びつきなど支援 飼料政策で江藤農相2025年2月25日
-
24年産米の食味ランキング 2月末に公表 日本穀物検定協会2025年2月25日
-
外国産米そろい踏みで同値の売りものが出る【熊野孝文・米マーケット情報】2025年2月25日
-
地元産米で家計を支援 「お米とくらし応援券」が好評 青森県弘前市2025年2月25日
-
「第8回 和牛甲子園」出品牛をJAあおば直売所で販売 JA全農とやま2025年2月25日
-
入善高校生が栽培した富山米「富富富」を学校給食に提供 JA全農とやま2025年2月25日
-
おおいた和牛大祭・おおいた豊後牛親子食育フォーラムを3月16日に開催 JA全農おおいた2025年2月25日
-
将来を担うJAの若手リーダー養成 JA全中戦略型中核人材育成研修 24人がレポートを発表2025年2月25日
-
【今川直人・農協の核心】種子・種苗は国益第一で2025年2月25日
-
「日本全国!ご当地冷凍食品大賞」第1回グランプリは「贅沢桜えびかき揚げ」2025年2月25日
-
全国やきいもグランプリ2025 チャンピオンは「日比焼き芋の紅優甘」2025年2月25日
-
山武市×酒々井プレミアム・アウトレット いちご狩りを楽しんでお得なクーポンプレゼント2025年2月25日
-
学生ビジネスプランコンテスト「JUMP Vol.4」 最終ピッチコンテスト開催 AgVenture Lab2025年2月25日
-
まるで豆腐 1.5倍濃い無調整豆乳「キッコーマン 豆乳一丁」新発売2025年2月25日
-
電気消しゆったり過ごす「キャンドルナイト」24日から パルシステム2025年2月25日
-
店舗、宅配ともに前年超え 1月度供給高速報 日本生協連2025年2月25日
-
鳥インフル 米ロードアイランド州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年2月25日
-
国産こだわり素材シリーズ「秩父 和メープルプリン」期間限定発売 協同乳業2025年2月25日
-
原発事故を風化させない 被災者応援金の協力を呼びかけ パルシステム連合会2025年2月25日
-
圧力式の本格的な精米機「BR-WB10」新発売 象印マホービン2025年2月25日