JAの活動:第4回営農・経済フォーラム
【第4回営農・経済フォーラム】基調講演・日本大学商学部 川野克典 教授2018年9月18日
組合員の期待を超える改革を
3会場共通の基調講演として日大の川野克典教授が「自己改革―最終年度の取り組み」をテーマに話した。川野教授は「創造的自己改革は生き残りのための序章に過ぎない。改革はまだまだ続く」と呼びかけた。
◇ ◇
創造的自己改革も中盤となり改革を加速する時期に突入した。しかし、組合員アンケートに注力して改革のスピードを落としていないか。改革スピードは定速ではなく加速しなければならない。
スマートフォンや宅配便サービスなどは顧客の声から生まれたものではない。その意味で組合員の期待に応えるのではなく、期待を超えなければ評価されないだろう。
農業、JAだけが改革を求められているのではない。被害者意識を捨て率先して改革、革新に取り組む必要がある。
取り組むべき課題を示す。1つは儲かる農業モデルの提示だ。JAの営農指導員が農家と議論して新しいモデルを創造していく。消費者の潜在的ニーズを発掘し消費者を驚かせる農産物、付加サービスも必要だ。
直売所も新鮮な農畜産物に付加価値を加えた「直買所」に変革する必要がある。コンビニに学び仮説と検証を繰り返し最適解を探すべき。共働きの若い夫婦をターゲットに午後に複数回出荷することも考えてはどうか。
今後は猛烈なスピードでスマート農業が普及する。JAも乗り遅れるわけにはいかないが、ブームだから取り組むのではない。目的を見失わず、全面的に若手に任せ、企業との提携も考えたい。
おいしい農産物を知的資産にする取り組みも必要だ。ICTを使ったデータ収集と分析で、暗黙知だった生産技術を文書として記述し資産にする。この知的資産を消費者にアピールして差別化する。
マーケティングには、「どんな価値」を提案するかの視点が必要だ。プロダクトアウトが悪いわけではない。革新的なモノはプロダクトアウトから生まれる。「おいしい」は当たり前、消費者を「すごい」、「おもしろい」と感動させるビジネスモデルを創造する。
一律ではなく多様な制度に転換することもJAに求められている。基準を明確にして販売高や利用高に応じた「公平」なサービスを提供していくことも大切だ。
営農、信用、共済等が協業し相乗効果を生み出す真の総合事業体になるべきだ。組合員データを整備し、組合員への提案に活用する。直売所を起点に信用や共済の利用という利用者モデルも実践する。
公認会計士監査で資産評価が厳しくなることも予想される。負の資産や事業を清算して身軽になることも必要だ。信用事業ではフィンテック対応としてJAでも組合員の一元的資産管理サービスを提供すべきだ。
仕事の「見える化」をはかり無駄を省く働き方改革と職員にJAの存在意義を考えさせる再教育も必要ではないか。他の組織も変わった。JAも変われるはず。もう言い訳は通用しない。
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