気候に優しい革新的な生産プロセスを追求 BASF(独)2019年1月18日
ドイツのBASF社は、2030年までCO2排出量を増やすことなく成長することを主な目標にしているが、CO2を削減し気候に優しい革新的な研究成果や技術など画期的な4つのプロジェクトを、1月9日にドイツ本社でリサーチプレスカンファレンスで紹介した。
BASF社は1990年以降、生産量を倍増させる一方で、温室効果ガスの排出を50%削減している。取締役会会長兼最高技術責任者(CTO)であるDr. マーティン・ブルーダーミュラー氏は「CO2排出量をさらに大きく削減していくためには、全く新たな技術が必要となる。そのため、BASFは意欲的な研究開発プログラムを開始した」と語り、次のような研究成果を紹介した。
★ナフサの分解
天然ガスではなく、電気を使用することでCO2の排出量を最大90%削減。今後5年で世界初の電熱コンセプトの開発を目指す。同時に、どの金属材料が高い電流に耐えられるのか、高温の化学反応炉の使用に適しているかを見極めるため、材料試験も必要となる。
★水素生成
化学業界では、反応物質として多量の水素を使用しているが、天然ガスを直接水素と炭素に分解するテクノロジーを推進。結果として得られる固体炭素は、鉄鋼やアルミニウムの生産などに使用できる可能性がある。再生可能資源を使うことができれば、二酸化炭素を排出することなく、水素を産業規模で生成することが可能になる。
★オレフィン(自動車をはじめ、種々の塗料やプラスチックスの原材料として多量に使用されている炭化水素化合物)
新たな低排出プロセスの開発を目指す特に重要な分野とBASFでは位置付けており、メタンのドライリフォーミング(DRM)で大幅に削減可能で、この過程で合成ガスを作り出し、それがジメチルエーテルを経てオレフィンに転換される。この革新的なプロセスは、スチームクラッカーの電気加熱を補完するもの、あるいはそれに取って代わるものになる可能性がある。
★CO2を化学原料に
エチレンとCO2からアクリル酸ナトリウムを生成。同物質はおむつや衛生用品に広く使用されている高吸水性樹脂の重要な出発原料で、BASF社の専門家はこのプロセスを産業規模に拡大するうえで重要な前進を遂げ、ミニプラントの実験室規模で実行できることを実証した。より大規模な施設でも安定供給できれば、CO2が化石燃料の約30%に取って代わることになる。
(関連記事)
・本社を日本橋に移転 BASFジャパン(19.01.17)
・【小松泰信・地方の眼力】コップの中の嵐にするな(18.12.19)
・バイエルの野菜種子事業買収も完了 BASF(ドイツ)(18.08.22)
・BASFが新サイレージ用添加剤「Lupro-Cid NA」を上市(18.07.17)
・遺伝子組換え作物栽培面積は1億8510万haに 国際アグリバイオ事業団(18.06.27)
・畜産の環境負荷 実際は4割減(18.04.19)
重要な記事
最新の記事
-
備蓄米 「味に差なく、おいしく食べてほしい」 江藤農相2025年4月24日
-
関税発動で牛肉の注文キャンセルも 米国関税の影響を農水省が分析2025年4月24日
-
トランプ関税で米国への切り花の輸出はどうなる?【花づくりの現場から 宇田明】第58回2025年4月24日
-
【JA人事】JA北オホーツク(北海道)吉田組合長を再任2025年4月24日
-
三島とうもろこしや旬の地場野菜が勢ぞろい「坂ものてっぺんマルシェ」開催 JAふじ伊豆2025年4月24日
-
農林中金 ロンコ・インベストメント・マネジメントに資本参画 不動産分野の連携強化2025年4月24日
-
積雪地帯における「麦類」生育時期 推定を可能に 農研機構2025年4月24日
-
日本曹達 微生物農薬「マスタピース水和剤」新たな効果とメカニズムを発見 農研機構2025年4月24日
-
棚田の魅力が1枚に「棚田カード」第5弾を発行 農水省2025年4月24日
-
みずほ銀行と食農領域の持続可能な発展に向け戦略的提携 クボタ2025年4月24日
-
【人事異動】兼松(6月1日付)2025年4月24日
-
日本生協連「フェアトレード・ワークプレイス」に登録2025年4月24日
-
旭松食品「高野豆腐を国外へ広める活動」近畿農政局 食の「わ」プログラムで表彰2025年4月24日
-
群馬県渋川市の上州・村の駅「お野菜大放出祭」26日から 9種の詰め放題系イベント開催2025年4月24日
-
JA蒲郡市と市内の飲食店がタッグ 蒲郡みかんプロジェクト「みかん食堂」始動2025年4月24日
-
適用拡大情報 殺菌剤「バスアミド微粒剤」 日本曹達2025年4月24日
-
倍率8倍の人気企画「畑でレストラン2025」申込み開始 コープさっぽろ2025年4月24日
-
農業・食品産業技術開発の羅針盤「農研機構NARO開発戦略センターフォーラム」開催2025年4月24日
-
雪印メグミルク、北海道銀行と連携「家畜の排せつ物由来」J-クレジット創出へ酪農プロジェクト開始 Green Carbon2025年4月24日
-
山椒の「産地形成プロジェクト」本格始動 ハウス食品など4者2025年4月24日