プリオン専門調査会は、9月10日に検査対象月齢と輸入月齢制限を現在の「20か月齢」から「30か月齢」に引き上げたとしても「リスクの差はあったとしても非常に小さく、人への健康影響は無視できる」とするなど評価結果をとりまとめた。
この審議結果について食品安全委は9月11月から10月10日まで意見募集した。
寄せられた意見は414件。このうち「BSE対策の国内措置及び国境措置を緩和することに反対」が231件、「米国のBSE対策が不十分」が74件と反対する意見は300件を超えた。
意見では「この規制緩和はTPP参加にあたりアメリカの要求を呑むための環境づくりという側面が非常に強く国民の健康をないがしろにするもので、一般消費者の理解を得ているとは言い難い」などTPP参加の入場料として見直しが行われたのでは、との反発が強い。また、「リスクの差が非常に小さいといえども、リスクのある方へ話を進めるのはおかしい」と評価の科学的根拠への疑問や不信も多い。
食品安全委ではこれらの意見に対して、最新の科学的知見や文献等の精査をもとに慎重な審議を経てとりまとめた、などとする回答を検討しているが、12日のプリオン専門調査会では「科学的知見と十把一絡げでいいのか。分かりやすく回答する必要がある」、「食品安全委員会はリスク評価をする機関であることを説明する努力が必要」などといった注文も出た。今後、回答をとりまとめたうえで、さらに厚労省や農水省とも連携し国民への説明(リスクコミュニケーション)を行っていく予定だ。
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